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Action

京まふ:withコロナの世界で3年前の開催風景を取り戻す【前編】

2022.11.17

「Action」では、急速に変わりゆく社会のなかで、ソニーミュージックグループやエンタテインメント業界の新たな試みに注目。どんなときでも人々に寄り添い、心を潤すエンタテインメントの未来を追いかけていく。

今回は、2022年9月に「みやこめっせ」「ロームシアター京都」を拠点に開催された『京都国際マンガ・アニメフェア2022』(以下、京まふ)をフィーチャーする。

一昨年、昨年は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、まん延防止等重点措置、緊急事態宣言下という厳しい状況での開催だったが、今年は規制が緩和され、過去2年は取り止めになったキャラカフェエリアやコスプレエリアもオープン。さらに今年からは、メタバース体験やNFTアートの販売にも挑戦し、マンガ、アニメを中心としたコンテンツの総合見本市として、さらなる進化を目指した。

引きつづき感染対策は入念に行ないながらも、約3万人が来場し盛況を博した今年の『京まふ』について、主催の京都市、運営事務局を務めるソニー・ミュージックソリューションズ(以下、SMS)の担当者に話を聞いた。

前編では、今年の開催を振り返り、コロナ禍前との比較、手応えについて語ってもらう。

  • 野沢陽子氏

    Nozawa Yoko

    京都市産業観光局 クリエイティブ産業振興室
    コンテンツ産業振興係長

  • 多田羅裕太氏

    Tatara Yuta

    京都市産業観光局 クリエイティブ産業振興室
    コンテンツ産業振興担当

  • カンスカ・マグダレナ

    Kanska Magdalena

    ソニー・ミュージックソリューションズ

  • 堀切万記

    Horikiri Maki

    ソニー・ミュージックソリューションズ

京都国際マンガ・アニメフェア2022

『京まふ』はマンガ、アニメを中心としたコンテンツの総合見本市。実行委員会とともに京都市が主催し、マンガ、アニメを活用した新事業の創出支援、クリエイターの育成支援や雇用機会の創出、コンテンツ都市としてのブランド力の強化、そして日本が世界に誇る文化のひとつであるマンガ、アニメを京都から発信することを目的に2012年よりスタートした。今年で11回目の開催となる。

withコロナ時代のイベント運営

── 一昨年、昨年はコロナ禍により厳しい状況下での開催となりましたが、今年の『京まふ』はコロナ禍前の賑わいが戻ってきたようでした。まずは、今年のレビューからお願いします。

多田羅:一昨年はまん延防止等重点措置の実施期間、昨年は緊急事態宣言下での開催でしたし、世の中に“今は開催する状況ではないのでは?”という空気もありました。そのため、『京まふ』をどうやったら盛りあげられるか? ではなく、どういうレギュレーションなら開催できるのか? といった感染対策のことばかりに注力していた記憶があります。それに比べると、今年はイベントの内容を充実させることにだいぶ時間を割くことができました。新たな試みとして実施した抽選会は、多くの方にご参加いただき、多数用意した商品が足りなくなるほど。コスプレエリアとキャラカフェも3年ぶりに復活させることができ、盛況でしたね。

もちろん、感染対策についても十分な配慮をしていて、一昨年、昨年のノウハウをベースに、必要がなくなった部分はカットし、依然として厳しく対応すべきところは継続。多くの来場者に会場に入っていただきながらも、しっかり感染対策を行ない、3年連続で終了後のクラスター発生などの報告はありません。まだコロナ禍前のピーク時までには至りませんが、来場者数も一昨年、昨年と比べて大きく増えました。

ソニーミュージックグループのアニプレックスもブースを出展。

──事務局を運営するSMS側は、どのような手応えを感じましたか?

堀切:『京まふ』では、コロナ禍の制約があるなかでの開催をひと通り経験してきました。その上で、新型コロナウイルスがどういう症状を引き起こし、どんな対策が有効で、社会全体としてどのように対応するかの認知が一般的に広まり、過去2年間の開催と比較して、より冷静になることができたように感じます。

それこそ昨年は、早い段階からさまざまな状況を想定して新型コロナウイルス対策を考えていましたが、結局、開催直前の感染状況によって、やるべきことが大きく左右されました。でも今年は、感染防止対策の知見も深まっていたので、新型コロナウイルスへの対策は考えすぎず、先ほど多田羅さんがおっしゃったようにイベントの中身に注力して準備期間を過ごすことができたと思います。

──堀切さんは、去年もコスプレエリアとキャラカフェを担当していて、残念ながら直前でどうしても中止せざる得ない状況になり悔しい思いをされました。今年は3年ぶりの復活で、感慨も大きかったのでは?

堀切:そうですね。昨年は、野沢さんたちがギリギリまで実施できるよう調整してくださっていたなかでの中止だったので、それも含めて本当に悔しかったです。でも、今年はSMSが運営に携わっている、アニメやゲーム、VTuberなどのさまざまなイベントでもフードの提供が問題なくできました。こうした案件を重ねたことで、『京まふ』にも自信を持って取り組むことができましたね。

キャラカフェに関して言えば、コラボする作品の選定に苦慮したり、出店してくださるキッチンカー探しが難航するなどはありましたが、感染状況に常に気を配っていないといけない状況よりは、よっぽど楽しかったし、やりがいもありました。

──去年のインタビューで、堀切さんは「リアルイベントが開催されるのが当たり前の世の中になっていてほしい」と話していました。今年は開催に迷いがなく良かったですね。

堀切:今年は開催の可否に関する議論は、京都市の皆さんともほとんどやりとりはありませんでした。

カンスカ:まだまだ終息を迎えたわけではないですから、甘く考えてはいけないですが、会場内にも一昨年や昨年のような、過度な緊張感はなかったように思います。ただし、自分自身が感染しないよう気を付けなければという思いは非常に強かったですね。

SMSではさまざまなイベントの事務局を運営しているので、誰かひとりでも感染してしまうと、そこから外出自粛が始まってチームが止まってしまう可能性もあります。なので、開催の2週間前ぐらいからはお昼も夜も、例え少人数でも会食は控えますし、消毒や検温もこまめに行ないます。リアルイベントを運営する部門なので、そこへの対策は徹底していました。

──京都は、日本屈指の観光地です。ちょうど『京まふ』が開催されるのと同タイミングで、入国規制も一部緩和され、徐々に外国人観光客も増えてきているのではないかと思いますが、現在はどんな状態でしょうか。街に活気は戻ってきていますか?

多田羅:過去にこのインタビューを受けた担当者も言っていたと思いますが、一昨年、去年は驚愕するほど街に人が少なく、今まで見たことのない京都を目の当たりにしました。でも今年に入ってからは、やむなく中止や自粛をしていたイベントが復活できたり、修学旅行も再開されるようになっていて、街の活気はかなり戻ってきている印象です。休日には着物姿の観光客の方が散策する姿も見られ、日本人がゆっくり京都を楽しんでいるなという印象ですね。

ただ、コロナ禍前の京都の街を歩くとすれ違う半分以上が外国人の方と言っても過言ではない状況でした。そこまでの勢いはまだ戻っていないので、今後に期待しています。

コスプレ、フードエリアが3年ぶりに復活

──今年の『京まふ』の出展社数、来場者数はどのような状況だったのでしょうか。

堀切:出展社数は、コロナ禍前の過去最大数だった2019年と比較して97%まで戻ってきました。総来場者数は同じく2019年と比較して、70%まで戻ってきましたね。

カンスカ:本来あるべき『京まふ』の姿に戻りつつありますよね。毎年、ご一緒してもらっている制作会社の方からも、「待機列がブースの周りに収まりきらなくて、別のところへ誘導しました。これだけ盛況なのは久しぶりです!」と喜びのご報告をもらいました。ただ、それでもコロナ禍前に比べると、来場者数はまだ3割足りません。今年は会場がかなり人でいっぱいになったので、当時は一体どこにそれだけの人を入れていたのかと思うほどです(笑)。

──外国の方も来場していましたか?

野沢:『京まふ』の開催時期にあたる9月中旬は、欧米のサマーバケーションが終わっているシーズンなので、欧米の方の来場はもともと少なかったですね。その分、アジア地域からの観光客や留学生、日本に住んでいる外国人の方が多かった印象です。ただ、2019年以前は会場が人であふれていたので、外国の方々がどれくらい来場されていたのかちゃんと把握できていませんでした。今年は、会場を見回せるくらいの余裕はあって、パッと見た感じでは外国の方も結構いらっしゃるなという印象でした。少なくともコロナ禍の過去2年に比べると多くはなっていましたね。

──3年ぶりのコスプレエリアの様子はいかがでしたか?

堀切:今年は晴天に恵まれ、屋外でも同じようなイベントを行なっていたこともあり、会場外で楽しまれる方が多かったかもしれません。また、感染防止対策の一環として、コスプレエリアで写真撮影を希望する方は事前登録制にしていたので、以前に比べると足を運んでいただくハードルが高くなってしまったかもしれません。

カンスカ:コスプレエリアについてはもう少しにぎわいが欲しかったというのが、正直なところです。来年はもっと気軽に足を運んでいただけるように、やり方を考えていきたいと思います。

「みやこめっせ」の地下に設けられたコスプレエリア。

──フードエリアでは、来場された方が同じ方向を向いて、じっくりとそれぞれの世界観を味わっているように見えました。フードエリアの感染対策について、詳しくお聞かせください。

堀切:どのお客様も非常に協力的でした。運営側のお願いを皆さんちゃんと守ってくださって、食べるときだけマスクを外し、黙食に徹してくださる姿を見て、私はグッときてしまいました。何のトラブルもなく終わったので、来年もまだコロナ禍がつづいていたとしても、この形式であればまたご提供できるのではないかと思います。

──フードエリアでは行列もできていましたね。

堀切:そうですね。京まふ限定の描き下ろしノベルティをプレゼントするという施策を行なったため、ファンの方がたくさん来てくださいました。「みやこめっせ」内にあるカフェレストラン「GRILL TERRACE ABURU」に出店していただきましたが、こちらも3年ぶりなので、蓋を開けるまでお客様の反応がわからなかったわけですが、多くの方から好評をいただきました。

3年ぶりに解禁になったフードエリアには、長蛇の列ができていた。

行政がイベントを手掛ける意味

──多田羅さんは、昨年から『京まふ』の運営に携われたとお聞きしました。

多田羅:京都市の職員になり5年目ですが、最初の3年間は区役所で福祉に関する仕事をしていました。マンガやアニメにはそこまで詳しくなかったので、実を言うと『京まふ』のイベントの中身も携わる前は詳しく知りませんでした。

──『京まふ』に携わるなかで、マンガやアニメというカルチャーを愛する方々がこれほど多くいることに驚いたのではないでしょうか。現場を体感していかがでしたか?

多田羅:昨年運営スタッフに加わったときは、自分が知らない作品の出展が多く、ライト層にも親しみやすくなるように、出展作品の幅を広げることが課題だと感じました。

コロナ禍もあってマンガやアニメの需要がさらに拡大し、そのファン層はより広がっていますし、会場を見渡しても、性別を問わず、幅広い年齢層の方々に来場いただいています。今年は来場者数もかなり増加し、マンガやアニメは特定の人が楽しむものではなく、日本のカルチャーのひとつに定着しているのだと改めて実感しましたね。

──『京まふ』は一昨年、昨年と開催を諦めず、つづけてきたからこそ今年の盛りあがりが生まれたのではないかと思います。イベントをつづける意義について、ご意見をお聞かせください。

野沢:おっしゃる通り、コロナ禍の2年間、開催をつづけてきたことで、今年は賑わいを取り戻すことができました。また、その実績があるので、安心してたくさんの方にご参加いただけたのかなと思います。

とは言え、今後も『京まふ』をつづけていくには、より多くの企業、団体からのご支援が欠かせません。京都市の財政は厳しいため、「このイベント、面白いね」と言われるだけでなく、多くの企業、団体が参加したくなるような仕掛けを作っていくことが重要です。そのためには、先ほど多田羅が言ったような、幅広い層へのアピールが欠かせません。行政が手掛けるイベントとして、産業支援、クリエイターの育成支援につながっていることも強く打ち出し、京都からコンテンツカルチャーを発信する意義について、より広く認知していただけるよう、さらに頑張っていきたいです。今年の経験を、来年以降にもいかしていきたいと思います。

文・取材:野本由起
会場撮影:干川 修

関連サイト

『京まふ』公式サイト
http://kyomaf.kyoto/
 
『京都館PLUS X』公式サイト
https://www.kyotokan.jp/vr-kyotokan/
 
ソニー・ミュージックソリューションズ
https://www.sonymusicsolutions.co.jp/s/sms/?ima=3603

主催京都国際マンガ・アニメフェア実行委員会、京都市
© KYOTO INTERNATIONAL MANGA ANIME FAIR All Rights reserved.

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