リアクション ザ ブッタ:ホーム「西川口Live House Hearts」への想い――結成17年目で初メジャーリリースしたバンドの歴史を辿る①
2024.11.15


今年、結成15周年を迎え、先日初の日本武道館公演『ハンブレッダーズ ワンマンライブ 放課後Bタイム ~15th Special~』を開催した4人組ロックバンド・ハンブレッダーズ。
後編では、「スタジオ246 GEN」でのukicaster加入エピソードや初の日本武道館公演での想いを語る。インタビューの答え合わせとなる、日本武道館公演のライブレポートも掲載。
目次
ハンブレッダーズ HUMBREADERS
(写真左から)ukicaster(Gt.)、木島(Dr.)、ムツムロ アキラ(Vo.&Gt.)、でらし(Ba.&Cho.)による大阪出身の4人組ロックバンド。高校1年生のとき、文化祭に出演するために結成。2020年2月、トイズファクトリーよりメジャーデビュー。2024年2月21日、4thフルアルバム『はじめから自由だった』をリリース。3月24日には大阪城ホールにてバンド史上初のアリーナワンマン公演を開催し、10月9日には初の日本武道館公演『ハンブレッダーズ ワンマンライブ 放課後Bタイム ~15th Special~』を開催した。
記事の前編はこちら:ハンブレッダーズ:“3つの原点”から振り返る、結成15周年の歩み①
注目記事はこちら:ハンブレッダーズを発掘したスタッフインタビュー
――3つ目の思い出の場所は「スタジオ246 GEN」(天神橋六丁目)。ここでいよいよハンブレッダーズの歴史にukicasterさんが登場されるのですね。
木島:前のギターが抜けて3人になったときに、うきくんには西日本担当でサポートをお願いしたんですよ。それが2019年ごろだったと思います。
ukicaster:時系列を整理するためにちょっと遡ってお話しすると、僕は当時……2015年ごろですが、別のバンドをやっていて、そっちで頑張ろうと思っていたんですね。そのころに、ロッキング・オン主催のアマチュア・アーティストコンテスト『RO69JACK』に出ていたハンブレッダーズを観て、「ああ、良いバンドだな」ってふわっといっぽう的に思っていたんです。
その翌年に『COMIN'KOBE』(現、COMING KOBE)っていう、フェスの出場を懸けたオーディションに当時の僕のバンドが出ることになって。そのとき、僕が会場のエレベーターホールで迷ってウロウロしてたら「ああ、ここですよ」って親切に案内してくれたのがムツムロだったんです。それがファーストコンタクトで。
ムツムロ:全然覚えてない(笑)。
ukicaster:その後、心斎橋の「FANJ」っていうライブハウスで初めて対バンをしたんですけど、ハンブレッダーズがめちゃくちゃ良いライブをしたんですよ。曲そのものが良いのは知ってたけど、演奏も良いし、何より歌はポップス的なアプローチなのに、ギターがこんなに目立ってて良いんや! っていう驚きがあったんですよね。“アマチュアでここまでやれるんや、俺がやりたかったのはこれやな”って。
ムツムロ:僕らも、めっちゃギターの上手いやつがおるなと思ったんですよ。「うきくんって言うんや。しかも同い年なんや」みたいな。
ukicaster:それからしばらく直接会うことはなかったけど、SNSとかでは絡んだりもしていました。そうしたら、さらに1年後くらいかな、サポートとして声がかかったんです。
ムツムロ:そのころ、僕らは働きながらバンドをやっていて、『出れんの!?サマソニ!?』っていうオーディションに出場することになったんですけど、当時のギターが仕事の都合で参加できなくなったんですよね。
急遽、オーディションだけ誰かにサポートを頼まないといけない状況になって「そういやギターが上手いやつがいたな」ってうきくんにコンタクトを取ったんです。おかげでオーディションは受かったんですけど、本番にうきくんは出れないっていう、めちゃくちゃ不義理なことをしてしまって(笑)。
ukicaster:いやいやいや(笑)。
――もしかして、そのときの練習で入ったスタジオがここですか?
ukicaster:いや、そのときは心斎橋の違うスタジオでした(笑)。
ムツムロ:そうそう、思い出してきた! で、いろいろあってギタリストが脱退するっていう話になって……最初は3ピースでいこうかっていう話もあったんですけど、俺がリードギターのぶんも弾こうかって言うと毎回ふたりが沈黙するんですよね(笑)。なので、やっぱりギタリストはいたほうが良いんやなって。
木島:既にインディーズでアルバムを2枚出してたからね。何も出してなかったら3ピースも考えたかもしれないけど、リードギターがいるスタイルが自分たちにとっても当たり前になっていたし。
でらし:あと僕は、アー写とかになったときの4人で横並びっていうバンドのルックスが好きだったんですよ。それもあって頑なにギタリストを入れたいっていう……口では言わなかったけど(笑)。
ムツムロ:それで、うきくんにサポートをお願いすることになりまして、一緒に入るようになったのが「スタジオ246 GEN」なんです。
ukicaster:メジャーデビュー直前で、メンバーは仕事を辞めてバンドに専念し始めてたんですけど、逆に僕はまだ働いていたときで。なので昼から夜まで「スタジオ246 GEN」を押さえて、昼間は3人で曲づくり、夜になると僕も仕事終わりで合流、っていうのをつづけてましたね。
ムツムロ:ようやってたよな、フルタイムで働いたあとに。
ukicaster:それぐらい楽しかったから。
ムツムロ:それは俺らも一緒かもしれない。やっぱり楽しいんですよ、バンドって。だから仕事と並行してたときも全然平気だったし、「スタジオ246 GEN」での練習含め、本当に楽しかった思い出しかないんです。
大阪府大阪市北区にある天神橋筋六丁目駅より徒歩5分、専用駐車場、自転車/バイク置場も完備。3フロアの建物、一棟丸ごと音楽スタジオで、店内は天井高が高く解放感があって居心地の良い設計。より音楽に専念できる環境で、音楽活動をサポートする。
――楽しくてやりつづけてきた結果の結成15周年。今回、挙げていただいた場所以外にも、折々でターニングポイントとなるできごとはあったと思いますが、この4人で今、ハンブレッダーズとしてここにいることを決定づけたものは何でしたか?
ムツムロ:この4人ってことでいうと、去年のNHKホールですかね。3枚目のアルバム『ヤバすぎるスピード』のリリースツアー『ヤバすぎるワンマンツアー2023』のファイナルだったんですけど、あのツアーはコロナ禍がやっと落ち着いてようやく声出しできる状態で回れる、言うなれば本来のバンドの姿でライブができるっていうツアーだったんですよね。
僕らだけでなく、コロナ禍で仕事がなくなるかもしれへんって言っていたPAさんや照明さん、楽器スタッフさんたち全員を連れてツアーを回れて、最後にNHKホールに辿り着いたとき、本当にホッとしたんですよ。
でらし:本当にチーム全員が戦友みたいな気持ちになりましたからね。あの困難を一緒に乗り越えたんだから、ここからはもうずっとこの人たちとやっていけるって、そういう手応えをすごく感じたというか。
ムツムロ:ほかにはある?
木島:どうやろ……初の大阪城ホール(2024年3月24日 大阪城ホールワンマン)でもないもんな?
ムツムロ:確かに大阪城ホールは規模的には大きかったけど、ターニングポイントっていうとちょっと違うかも。
木島:そう考えるとやっぱりそのツアーかなって。
ukicaster:個人的にはこれっていうものがないんですよ、僕は。結局、全部地続きで楽しくやっているから。
ムツムロ:そうやって考えていくと、日本武道館でのワンマンライブ(2024年10月9日 『ハンブレッダーズ ワンマンライブ 放課後Bタイム ~15th Special~』)が4人にとって一番のターニングポイントになるのかもしれないなって今、話していて思いました。
――日本武道館でのワンマンライブはやはり大きな目標のひとつでしたか?
ムツムロ:それで言ったら僕は大阪の人間なので大阪城ホールのほうが思い入れは強いんですよ。「ワンマンをやるなら先に大阪城ホールでやりたい」ってずっと言っていましたし。
でらし:逆に僕はすごく思い入れがありますね、武道館には。スピッツとかASIAN KUNG-FU GENERATIONとか、自分の原点になったバンドの武道館ライブを高校生のときに観ていますし、ライブ映像とかでもたくさん見てきて。
ただ、自分が武道館でライブをやるっていうイメージは全然なかったし、絶対武道館に立つぞとか思っていなかったんです。なので、ハンブレッダーズが武道館でワンマンをやるって決まってからも、もちろん絶対に良いライブにしてやるって気持ちはあるけど、“武道館だから”というような特別な気負いはないというか。
ukicaster:僕は“ハンブレッダーズの武道館ライブ”というものにめちゃくちゃ思い入れを持ってます。僕自身まだハンブレッダーズとしてのキャリアも短いし、正式加入前を加えても関わった年数で言えば15周年の半分にも満たないんですよ。もちろん大阪城ホールはバンドのひとつの集大成としてしっかりやり遂げたつもりですけど、個人的にはまだ自分の集大成ではないなっていう感覚が悔しながらもあったので。
だからこそバンドとして初の武道館は自分のキャリアとして絶対に誇らしいものであってほしいし、一番良いライブにしたるぞっていう気概でいるんですよね。しかも“今までのまとめ”ではなく“これから”を感じてもらえるような、特別な場所にふさわしい1日にできたらって。
――特別な場所ではありますよね、間違いなく。
木島:でも、すごいところだとは僕も認識してるんですけど、特別な思い入れは何もないというか……。
ムツムロ:いきなりドライだな(笑)。
木島:もちろん、いろいろなアーティストのステージやライブ映像を見て最高やなとか思うんですけど、でも自分たちがやるとなったら、それは通るべきひとつの道みたいな感覚で。大阪城ホールもそうでしたけど、その先もまだ全然あるだろうからここがピークだとはまったく思ってないですし。だから等身大でやれることを全力でやっていくだけなんです。高校生のときからずっとそうやってきたので、それ以外のことはわからないんですよ。
ムツムロ:おまえが一番スターかもしれない(笑)。
でらし:ただ、お客さんにとっては、応援するバンドの初めての武道館なんてとんでもないものじゃないですか。僕もそういう気持ちで好きなバンドのライブを観てきたからわかるんですけど。そんなお客さんたちが「あの日は伝説だったな」って10年後に思えるようなものにできたら良いなと思いますよね。
――武道館公演と同じ10月9日には新曲「フィードバックを鳴らして」もリリース。これまでとはまた異なる尖ったアプローチからは、変化をいとわず、むしろどんどんチャレンジングに幅を広げていこうという皆さんの強い意志も感じられたのですが。
ムツムロ:確かに挑戦ではありますね。「フィードバックを鳴らして」はマイナー調の曲で、アルバムのなかではそういう曲も作っていたんですけど、今回は配信シングルとして毒っ気とか尖った部分を前面に出してみようかって。
作っていて笑っちゃうような曲を出したいっていう気持ちがあるんですよね。この曲はずーっと必死に弾いてるし、ずーっと必死に歌っているので、やっていて純粋に面白いんです。
ukicaster:ギターなんかは特に“笑わせしろ”を作りやすくて。
――伸びしろ、みたいなこと?
ukicaster:そうです、そうです(笑)。ここで無茶したらメンバー笑うかな? とか、そういう楽しさが音源を作る根底にはあるので。
ムツムロ:びっくりさせたいんですよ。びっくりさせて、笑わせたい。メンバーだけじゃなく、ファンのみんなも。それで喜んでもらえたら本望です。
――では、この先の展望などは考えていますか。バンドとしてさらに挑戦したいこととか、より大切にしていきたいものなどあればぜひ教えてください。
ムツムロ:今はやっぱり“つづけたい”というのがひとつの目標としてありますね。なあなあではなくて、本当に楽しいなと思えることをやって、良いなと思える曲を作って、それをずっとつづけていくことが第一目標で。
東京ドームでライブがやりたいとか、そういう気持ちがどれだけあるかって言われたら木島みたいになっちゃうんですけど(笑)。でも自分たちでフェスを開催して、友達に出てもらいたいっていう夢は対バンの地続きとしてありますし、自分が育ったところにこれまでもらった恩を返したいっていう気持ちもあるので、そういう意味でもまだまだバンドでできることはいっぱいあるなって思いますね。
ハンブレッダーズ「フィードバックを鳴らして」Music Video
音が鳴り、そして止むまでのたっぷり2時間半。ハンブレッダーズが徹頭徹尾、奏でていたのは会場を埋め尽くしたオーディエンス一人ひとりにとっての“自分の歌”だった。終わらない青春、尽きることなき初期衝動、不変にして絶大なる音楽への愛情と信頼。
彼らを彼らたらしめるそれら不可欠な要素の一つひとつが、この場にいる全員のそれらと混じり合い、相乗し合って、作り上げられた最上級の一夜だった。
結成15周年のアニバーサリーとして開催されたハンブレッダーズ初の日本武道館ワンマン公演『放課後Bタイム ~15th Special~』。初めて日本武道館に立つ彼らの佇まいには15年選手らしい肝の据わり方と今なお溢れんばかりの瑞々しさが絶妙なバランスで同居しており、祝祭ムードは存分に醸しながらも、良い意味で地に足をつけた等身大の本領が余すところなく発揮されていたように思う。
早々に場内一体となりシンガロングを巻き起こした「DAY DREAM BEAT」でオープニングを飾ると「スクールカーストの最底辺から青春を歌いにきました。ハンブレッダーズです」というお馴染みの口上から「今日は日の丸背負ってギター鳴らしに来ました」と堂々告げるムツムロ アキラ。
なだれ込んだ「ギター」ではステージに次々と炎が上がる演出で熱狂をさらに加速させ、その後も、「ワールドイズマイン」「再生」といった人気曲はもちろん、ライブではほとんど披露されたことのないレア曲やインディーズ時代の名曲、さらにはこの日本武道館公演と同日に配信リリースされた最新曲「フィードバックを鳴らして」など新旧の区別なく幅広く、かつ、この日のために厳選したセットリストで容赦なくオーディエンスの感情に揺さぶりをかけてゆく。
今の4人になったハンブレッダーズの始まりの曲とも呼びたい「光」では“山吹色”の紙吹雪、つづく「はじめから自由だった」では青い銀テープが降り注いで場内をこのうえない昂揚で満たした終盤戦。「グー」を前にムツムロ アキラは「声なき人の声を代弁することが、俺はロックバンドの資格だと思います。それを忘れずに活動していこうと思います」と誓い、「改めてもう一度言います。スクールカーストの最底辺から青春を歌いに来ました!」と力強く宣言した。
MCではメンバー同士、わちゃわちゃと仲の良いやり取りでオーディエンスを和ませつつ、何度となく「楽しい」と「ありがとう」を口にしていた4人。今日があるのはここまで連れてきてくれたみんなとスタッフのおかげだと語り、それでも日本武道館が人生の最高到達点だとは思っていないこと、あくまで通過点であり、さらに素晴らしい景色に向かってこれからも頑張ると意気込んでみせる。
ちなみにタイトルの“放課後Bタイム”は、ハンブレッダーズ結成のきっかけとなったアニメ『けいおん!』に登場するバンド名“放課後ティータイム”に由来しているのだという。作品のなかで主人公たちが目指していた場所に今、彼らが立っていると思えばこれまた感慨深くもあるが、ハンブレッダーズはこれからだっておそらく何度もここに立つのだろう。それどころか2回、3回と回を重ねるごとに日本武道館は彼らにとってのライブハウスになっていくに違いない。アンコールに演奏された「ライブハウスで会おうぜ」に胸を熱くしつつ、そう確信せずにはいられなかった。
今回、当サイトのインタビューで「(今の)4人にとっていちばんのターニングポイントになるのかもしれない」と語ってくれたムツムロ アキラだが、そのターニングポイントの先に何が待っているのか俄然、楽しみだ。
<セットリスト>
アンコール
EN1.BGMになるなよ
EN2.ライブハウスで会おうぜ
EN3.チェリーボーイシンドローム
記事の前編はこちら:ハンブレッダーズ:“3つの原点”から振り返る、結成15周年の歩み①
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文・取材:本間夕子
撮影:干川 修
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