ステージで踊るカジャーグルのメンバー
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K-POPの視点で見たアイドルグループのリアル——日韓合同プロジェクト「KJRGL」担当者が考察①

2025.02.04

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日本と韓国のソニーミュージックが合同で手がける6人組ボーイズグループ・KJRGL(カジャーグル)。オーディション番組での落選や個人の芸能活動での挫折など、メンバー全員がそれぞれの壁を乗り越えて、昨年9月に念願のデビューを果たした。

そんな彼らの日々を最も間近で見てきた、Sony Music Entertainment Korea(以下、SMEK)のジェームズ・イムに、KJRGLのデビューまでの道のりを振り返りながら、日韓アイドルグループの実情を考察してもらった。

前編では、KJRGLの基礎になっているとも言えるオーディション番組の今にスポットを当てる。

  • ジェームズ・イムのプロフィール写真

    ジェームズ・イム

    James Im

    Sony Music Entertainment Korea

KJRGLとは?

カジャーグルのメンバーが横一列に並んでいる

ソニーミュージックの日韓合同プロジェクトから誕生したボーイズグループ。日本、韓国のオーディション番組出身者を中心に結成された、日本人メンバー3人、韓国人メンバー3人(うち米国籍ひとり)の6人組。2024年9月に、デジタルシングル「overture~the blue wave」でデビュー。1st EP『prelude~the brilliant blue』が発売中。12月23日には、渋谷のSpotify O-WESTでデビューライブ『KJRGL DEBUT LIVE~KJRGLad to sea you!!』を開催。2025年1月29日にデジタルシングル「Generation_Cloud」をリリースした。

記事の後編はこちら:K-POPの視点で見たアイドルグループのリアル——日韓合同プロジェクト「KJRGL」担当者が考察②

KJRGL誕生の背景

──まずは、イムさんがKJRGLを担当することになった経緯を教えてください。

私が最初に入った会社は、韓国のインディーズのレコードレーベルで、音楽アーティストのアルバム制作やライブ制作などを約2年、担当していました。

その後、2022年6月にSony Corporation of Americaの子会社であるSMEKに入社して、MONSTA XのI.M(アイエム)やmsftz(Sinae)(ミスフィッツ)を担当することになりました。

同時に、吉本興業、ソニー・ミュージックレーベルズ(以下、SML)、SMEKが共同で立ち上げた「僕たち、デビューできるかな??」という番組連動プロジェクトにも入社時から関わっていたんですが、のちにKJRGLとなるメンバーの選考が固まっていくなかで、「僕たち、デビューできるかな??」に専念することになり、SMEKのスタッフとしてKJRGLを担当することになりました。

■関連記事はこちら
KJRGL(カジャーグル):人気オーディション出身者を含むボーイズグループが今踏み出す第一歩を語る

手振りを交えて話すイム

──吉本興業、SMLとの合同プロジェクトの発足はどのような経緯だったんですか?

BSよしもとで放送されていた「僕たち、デビューできるかな??」には、「PRODUCE 101 JAPAN SEASON2」のオーディションでINIのメンバー選考から惜しくも落選したKOUKI、ソニーミュージックが開催しているグローバルアーティスト育成プロジェクト「TORA PROJECT」の1期生であるAKIRA、BOYS PLANETに出演していたRIKUたちが出演していました。

タイトルにある通り、この番組は出演している若者たちが、練習生から成長してデビューを果たせるかを追うドキュメントバラエティですが、本来は出演者のなかに韓国人の練習生も入る予定でした。

しかし、コロナ禍に入って、韓国の練習生のビザが取れなくなってしまうなど、いろいろな壁にぶつかったときに、SMLから改めて一緒にプロジェクトができないか? という提案を受けました。

大枠では同じソニーというグループに所属するSMLとSMEKですが、日本とアメリカで資本関係が別になっていることもあり、これまでに合同でプロジェクトに取り組んだという実績がありませんでした。

だからこそ、これは初めてのチャレンジとして面白いと感じましたし、SMEKにそのような提案をしてくれたことに感謝の気持ちがありました。そして、初めてのコラボレーションだからこそ、しっかりとやり遂げたいと思いましたし、アメリカの本社でも注目されるプロジェクトになっています。

──イムさんは、このプロジェクトでどのような役割を担っているのでしょうか?

「僕たち、デビューできるかな??」に出演していたAKIRA、KOUKI、RIKU以外のメンバーの選考など、A&R(アーティスト&レパートリー:音楽アーティストをさまざまな面でサポートしながらヒットへ導く音楽業界の業種)としての動きは、SMLの主導で進められています。

私たちSMEKは主に韓国での活動をサポートするために、米韓でメディアプロモーションを展開したり、K-POPシーンで活躍する音楽クリエイターやコレオグラファーとSMLをつなぐパイプ役になったりしています。

そのうえで、自分が韓国で7年間培ってきたコンテンツづくりのノウハウをいかして、KJRGLのカッコイイ音楽、コンテンツを作れたらうれしいなと考えています。

デビューのステージで踊る6人

Photo:上飯坂一

──実際、KJRGLの作品には、韓国の著名なクリエイターが参加していますね。

はい。プレデビュー曲の「prologue~the deepest blue」は、情熱と才能にあふれる新進気鋭のコレオグラファー・ハリムさんが手がけていて、デビュー曲の「overture~the blue wave」は、東方神起、SEVENTEEN、EXO、THE BOYZ、JO1などの振り付けを手がけたことで知られるペク・グヨンさんにお願いしました。

KJRGL "prologue〜the deepest blue" Music Video

KJRGL "overture~the blue wave" Music Video

おふたりとも世界的に有名な1MILLION DANCE STUDIOに所属されていますが、その名に相応しい素晴らしいクオリティで、KJRGLのデビューを後押ししてくださいました。

オーディション番組は、なぜここまで人気なのか?

──日本でも韓国のアーティスト開発や育成には注目が集まっていて、練習生によるオーディション番組も非常に人気が高いです。オーディション番組はなぜここまで増えたのだと考えていますか?

韓国では2010年ぐらいからオーディション番組に注目が集まるようになって、そこからK-POPも世界で本格的に注目され始めたと自分は考えています。そして、現在も変わらずオーディション番組は人気が高く、最近ではパク・ジニョン(J.Y. Park)氏が手がけているオーディションプログラム「ザ・タンタラ」(ザ・エンターテイナー)が人気ですね。

これは、韓国でよく言われていることで、日本でも同じ現象があると思いますが、オーディション番組を通して、メンバーを応援したいという気持ちが強くなる人が多いんですよね。そしてそれが、デビュー前のファンダムの醸成につながり、デビュータイミングから大きな話題を集めるというシステムができあがったのだと思います。

そのうえで、近年の日本で改めてオーディション番組が増えたのは、やはり『PRODUCE 101 JAPAN』(以下、日プ)の成功が大きく影響しているのではないでしょうか。2019年のシーズン1でJO1がデビューし、KJRGLのKOUKIも参加していた2021年のシーズン2でINI、2023年のシーズン3でME:Iが誕生して、それぞれ人気を集めています。

これらのグループの活躍と、日本国内におけるK-POPシーンの確立もあって、日本でもたくさんのオーディション番組が制作されているのではないかと思います。

真剣な表情で話すイム

──「僕たち、デビューできるかな??」も近い部分がありますが、オーディションから脱落したメンバーが、また違うオーディション番組に出演することもありますよね。

韓国の映像コンテンツは喜怒哀楽の表現が豊かなことが特徴で、演出もドラマチックにする手法が定番ですし、オーディション内のユニットのステージもたくさん作って、その映像をYouTubeに残します。だから、オーディション番組に出演して、例え脱落したとしても、自分の顔を売り込んでアピールすることが大事だとわかっている練習生が多いですね。

その番組内でのデビューは叶わなかったとしても、のちに違うグループやソロでデビューする人もいるし、SNSを活用してインフルエンサーになる人もいる。自分をアピールする、チャレンジする手段のひとつとして、オーディション番組に参加する練習生が増えているのではないかと思います。

──あとは、Kep1erを生み出した「Girls Planet 999:少女祭典」やZEROBASEONEを生み出し、KJRGLのDIEN、RIKUも参加した「BOYS PLANET」は、オーディションの時点から多国籍になっているのも特徴ですね。

K-POPはグローバル化を徹底していて、海外進出はビジネスの戦略上でマストになっていますし、世界の音楽市場でも注目されているので、海外で活動したいという若者が世界各地から集まるようになりました。

皆さんご存知の通り、TWICEのサブユニットであるMISAMOは日本でも人気があるし、BLACKPINKのLISAは自身の出身国のタイやアメリカでも絶大な人気がある。私は韓国人なので、韓国人だけのグループが世界的な人気を獲得することをすごく誇りに思っていた時期もあったんですが、今となっては、その考えが間違っていたことに気づきました。

韓国だけでなく日本やアメリカ、タイ、台湾など、世界各地出身のメンバーがいることで、より注目されるようになる。どの国や地域の人であっても、K-POPが好きな人たちはK-POPにリスペクトを持ってくれているし、最近の外国人のメンバーは韓国の文化も理解していて、韓国語もしっかりと話せる。それは、韓国人としてすごくうれしく思っていますし、多国籍グループにはメリットしかないと考えています。

取材・文:永堀アツオ
撮影:干川 修(インタビュー)/上飯坂一(ライブ)

後編につづく

リリース情報

  • ジェネレーションクラウドのジャケット写真
  • 「Generation_Cloud」
  • 配信中
  • 配信ストアはこちら(新しいタブを開く)

 

  • KJRGL『prelude~the brilliant blue』ジャケット写真
  • 『prelude~the brilliant blue』
  • 発売中
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