アニメ『TO BE HERO X』プロデューサーインタビュー――bilibili×アニプレックスが手がけるオリジナルアニメの裏側②
2025.04.13


2025.04.12
4月6日(日)朝9時30分よりフジテレビほかにて放送中のTVアニメ『TO BE HERO X』。中国を拠点に若者からの絶⼤な⼈気があるbilibiliとアニプレックス(以下、ANX)が初のタッグを組んで世界同時配信が実現した、完全オリジナルアニメーションだ。
ワールドワイドに脚光を浴びるHaolin(以下、リ・ハオリン)監督が描く斬新なヒーロー物語は、2Dアニメと3Dアニメのスタイルをフレキシブルに融合する“スタイル横断型アニメーション”であることも注目を集めている本作。日本人アーティストが手がける音楽や作品の魅力、制作の裏側をANXのプロデュースチーム3名が語る。
目次

中山信宏
Nakayama Nobuhiro
アニプレックス

高階 誠
Takashina Makoto
アニプレックス

孫宗楨
Son Sotei
アニプレックス
4月6日(日)朝9時30分より放送が開始される、bilibili×アニプレックスによる完全オリジナルアニメーション。監督にHaolin氏(リ・ハオリン)(『時光代理人-LINK CLICK-』『天官賜福』『詩季織々』『TO BE HERO』シリーズ)を迎え、bilibili傘下のアニメスタジオBeDreamが手がけるスタイル横断型アニメーションシリーズ。10名のトップヒーローを演じるキャストは宮野真守、花澤香菜、内山昂輝、中村悠一、松岡禎丞、佐倉綾音、水瀬いのり、山寺宏一、島﨑信長、花江夏樹。音楽陣は澤野弘之、KOHTA YAMAMOTO、ケンモチヒデフミ、DAIKI(AWSM.)、睦月周平、深澤秀行、馬瀬みさき、髙田龍一(MONACA)が集結。人々の“信頼”がデータとして集計され、その数値によってヒーローのランキングが変動する世界を描く、新たなスーパーヒーロー活劇。
記事の後編はこちら:アニメ『TO BE HERO X』プロデューサーインタビュー――bilibili×アニプレックスが手がけるオリジナルアニメの裏側②
――アニメ『TO BE HERO X』は、bilibili×ANXによる世界同時展開というこれまでに例のない共同制作が実現したオリジナルアニメです。ANXとしても初の試みになりますが、まずはチーフプロデューサーの中山さんより、今回のコラボに至った経緯を教えてください。
中山:アニメ『TO BE HERO X』は、リ・ハオリン監督が、bilibili傘下のアニメスタジオであるBeDreamと制作を進めていたオリジナルプロジェクトです。ANXはこれまでもbilibili製作によるリ・ハオリン監督作品を多数日本で展開している経緯もあったなかで、現在、ANX上海(安尼普(上海)文化艺术有限公司)に籍を置く黒﨑(静佳)さんが『TO BE HERO X』のプロモーションビデオのご紹介を受け、ぜひ日本でも展開をしたいと熱望したところからのスタートでした。それが2022年のことですね。
その際に、リ・ハオリン監督から音楽をぜひ澤野弘之さんにお願いしたいという希望がありまして、音楽制作の面ではANXが担当することになりました。
――アニメーション制作はbilibili、劇伴や主題歌を含めた音楽制作はANXが担う共同制作というかたちになったのですね。
中山:はい。さらにリ・ハオリン監督としてもこの作品はグローバルな展開をしたいという想いも大きかったので、日本国内でのローカライズに加えて、その先の海外展開、宣伝もANXが担うという共同プロジェクト体制が固まりました。
これまでも、ANXではリ・ハオリン監督作品の『時光代理人-LINK CLICK-』『天官賜福』『詩季織々』などを展開してきましたが、それらは完成したアニメの日本語吹き替えを含めたローカライズのみでした。今回はクリエイティブでもコラボレーションするという、まったく新しい試みに挑戦しています。
――そんな『TO BE HERO X』は、アニメーションとしてもこれまでにない新しさが詰め込まれた作品となっています。皆さんが本作で特に魅力に感じるポイントを教えてください。
中山:リ・ハオリン監督は独特の世界観を作品にしている方で、これまでのアニメも設定からとても個性的なのですが、今回は多彩なヒーローが活躍する世界。人々の“信頼”がヒーローの特殊能力にも反映され、ヒーローたちのパフォーマンスによって“信頼値”が更新されて、ヒーローランキングが構築されていくという世界観なんです。その設定から既に面白いですよね。
孫:ヒーローを信頼する人が多いと、それに応じて能力が変わるというのは斬新ですし。
高階:ヒーロー物という普遍的で王道のテーマには世界共通の魅力がありますよね。ありきたりでもあるその題材をどう描いていくかという、アニメとしての作り方も『TO BE HERO X』の新しさであり魅力です。メインヒーローは10人いるのですが、それぞれを主人公とした独立したエピソードが、オムニバス形式の24話で構成されています。
そしてエピソードごとに、担当するアニメーションスタジオが異なるというのが特徴で、画も2Dあり、3Dありと、そこも混在していて。劇伴や各ヒーローの劇中歌も、エピソードごとに決まった担当の作家の方が作っているので、各話ごとに新鮮な驚きがある。普通のアニメを見る感覚でこの作品を見始めたら本当にびっくりするんじゃないかと思います。
――日本のアニメでも作画を複数のスタジオが分担して担当することは多いですが、そもそもエピソードを丸ごと別々の制作スタジオが手がけ、1シリーズのなかで2D、3Dと異なるルックがあるというのは驚きですね。
高階:通常のTVアニメシリーズとしてはあり得ない作り方ですよね。さらに画作りや世界観・キャラクターのデザインも含めて、すべてにおいてスタイリッシュ。それもハオリン監督ならではの独自性です。
孫:だからといって浮世離れしているわけではないんです。『時光代理人-LINK CLICK-』もそうでしたが、話は現実と非常にリンクしています。世間で悪評が広まって信頼値が下がり、結果的にヒーローが弱くなってしまうという設定は、現実社会も想起させますよね。
高階:舞台は特殊な科学技術が発展している架空の世界なのですが、空気感は私たちが生活する現代社会に近いです。また作中で描かれる人間ドラマがとてもエモーショナルなのも魅力ですね。
画作りの派手さにまず目が引かれますが、内容はドラマに重きが置かれています。家族・友情・恋愛といった人と人との関わり合いが「信頼」というキーワードの上に成り立っている描写が素晴らしいですし、泣けるシーンも多いです。さらにヒーロー物という普遍的なジャンルのなかに現代ならではのさまざまな問題が組み合わさっていて、ハオリン監督の新境地を拓かれていると感じます。
中山:いわゆるオムニバス形式で進行するアニメですが、各エピソードで起こる事件同士がそれぞれのお話に影響しあっていたり、別の視点から描かれていたりと、複雑に絡み合っているのも特徴です。考察しがいのある世界観にも注目していただきたいですね。
高階:裏話になりますが、監督とスタッフの方々がこの作品のために作られた膨大な量の資料がありまして。そのなかには作中の年表もあるのですが、この世界の歴史が細かく作り込まれていました。『TO BE HERO X』には、かなり複雑な世界観が用意されているので、その片鱗は放送でしっかり感じていただけると思います。
――ANXチームが担当した音楽制作についても聞いていきたいと思います。リ・ハオリン監督から澤野弘之さんへの強い希望が出発点とのことでしたが、海外作品から日本のアーティストに音楽のリクエストが来ることは多いのでしょうか。
孫:はじめはゲームの主題歌などからはじまり、劇伴の発注も日本のアーティストで、という流れになっていったのではないでしょうか。最初のころは、日本の作家さんも海外からのオファーに驚かれる方が多かったようですが、最近はかなり理解も深まっていると思います。
中山:ただ、これまでも劇伴制作や主題歌制作を日本に発注~受注というかたちはありましたが、監督ご自身の要望に合わせて、こちら側からもアイデアを出しながらディレクションも担う共同作業は、過去にもあまり例がないと思われます。
高階:今回のチャレンジが形になったのは、音楽陣の皆さまがこの冒険的な取り組みに興味を持ってくださりご協力いただけたからに尽きます。
――そこからどのように、音楽面を考えていったのでしょうか。
中山:まず、澤野さんにはオープニングテーマの「INERTIA」(SawanoHiroyuki[nZk]:Rei)とエンディングテーマ「KONTINUUM」(SennaRin)の2曲の主題歌と、作品全体のメインテーマ「JEOPARDY」を書いていただくことが決定しました。
さらに劇伴のほうは、メインヒーローが10人いて、それぞれのアニメ制作も別のスタジオが手がけるということになっていましたから、せっかくならヒーローごとに劇伴も複数作家制がいいのではないか? というアイデアと人選を、こちらからも提案させていただきました。
「TO BE HERO X」ノンクレジットOPムービー|SawanoHiroyuki[nZk]:Rei「INERTIA」/25年4月日曜朝9時30分放送開始!
「TO BE HERO X」メインPV | フジテレビほかにて4月6日(日)朝9時30分放送開始!
――そんな作家陣には、澤野弘之さん、KOHTA YAMAMOTOさん、ケンモチヒデフミさん、DAIKI(AWSM.)さん、睦月周平さん、深澤秀行さん、馬瀬みさきさん、髙田龍一(MONACA)さんという、8名の錚々たるメンバーが集結されました。
中山:はい。皆さんには、例えば「ナイス」編は澤野さん、「クイーン」編は髙田龍一さんといったように、各キャラクターのエピソードに流れる劇中歌や劇伴を書いていただきました。
後編では、日本と中国のアフレコ事情の違いやオリジナルアニメの世界同時配信について語る。
文・取材:阿部美香
撮影:干川 修
©bilibili/BeDream, Aniplex

2026.07.11
2026.06.30
2026.07.04
2026.07.03

2026.07.02
2026.07.01
ソニーミュージック公式SNSをフォローして
Cocotameの最新情報をチェック!