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アニメづくりへの情熱

アニメ『俺だけレベルアップな件』プロデューサーに聞く――アニプレックスとCrunchyrollの協力体制によって生まれたアニメ化の件②

2025.03.29

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世界中を熱狂させるアニメ作品のひとつとして注目を集めている『俺だけレベルアップな件』(以下、俺レベ)。本作の人気の背景や、原作を含めた作品の根源的な魅力について、製作を担うアニプレックス(以下、ANX)とCrunchyroll、両社のプロデューサーに聞いた。後編では、海外展開やオンエア後の反響について語る。

  • 『俺だけレベルアップな件』古橋宗太プロフィール写真

    古橋宗太

    Furuhashi Sota

    アニプレックス

  • 『俺だけレベルアップな件』髙橋佳那子プロフィール写真

    髙橋佳那子

    Takahashi Kanako

    Crunchyroll

記事の前編はこちら:アニメ『俺だけレベルアップな件』プロデューサーに聞く――アニプレックスとCrunchyrollの協力体制によって生まれたアニメ化の件①

世界規模のヒットはアニメ制作現場の力

――放送がスタートしてからは、どの地域からの反響が大きかったですか?

髙橋:北米、中南米、ヨーロッパというのはイメージしやすいと思いますが、意外と思われがちなところを挙げるとインドですね。インドは、この十数年でアニメカルチャーが急速に広まり、日本のアニメ作品への注目度が非常に高いです。その勢いもあって、最新話が配信されるたびに、爆発的な視聴回数を記録しています。

また、海外のレビューサイトでの評価が押しなべて高いのも特徴で。これはもう制作スタッフの皆さんのお力がすべてですが、「アニメーションのクオリティが素晴らしい!」という声が多く、その口コミがさらに反響を呼んでファンダムが拡大しているように感じます。

『俺だけレベルアップな件』水篠 旬アクションシーン

――古橋さんは、こうした世界での反響をどのように感じていますか?

古橋:日本にいると海外の反響を実感しづらかったりするのですが、一番手応えを感じたのは、Season 1の放送がスタートして髙橋さんから最初にCrunchyrollでの再生回数を教えてもらったときですね。そのとき “筆舌に尽くしがたい結果です”とおっしゃっていて……あんまり使わないじゃないですか、“筆舌に尽くしがたい”って(笑)。

髙橋:私のボキャブラリーが尽きちゃったんです、『俺レベ』に関しては(笑)。初めから“すごい”“ものすごい”“爆発的”とか言い過ぎていたので、形容する表現がなくなってしまって……まさしく筆舌に尽くしがたい、と。

笑顔で話すCrunchyroll髙橋佳那子

――(笑)それだけ大きな反響だったということですね。

髙橋:そうですね。期待をはるかに上回る反響でしたし、Season 1、Season 2と話数を重ねるごとに右肩上がりに伸びていくという、稀有なタイトルになりました。

古橋:『俺レベ』はストーリーが進むにつれて、主人公のレベルが上がっていくので、必然的にアクションシーンもどんどん派手になっていきます。

最初は、人類最弱兵器と呼ばれ、剣の重みに振り回されるような状態だった主人公が、レベルが上がることで、Season 2では超人的なアクションを繰り出せるまでにレベルアップしています。主人公がレベルアップしていく様をアクションシーンで細やかに表現されているので、ここでもアクション作画の妙味を感じてもらえるようになっているかと思います。

『俺だけレベルアップな件』水篠 旬アクションシーン

『俺だけレベルアップな件』アクションシーン

この点については、中重(俊祐)監督やアクションディレクターの菅野(芳弘)さんがしっかり見せ方を設計してくださっていて、それがファンの方々の期待と噛み合っているのかなと思います。

ただ、Season 2では、主人公が影の兵士を召喚できるようになり、複数対複数の集団バトルが繰り広げられていて、この制作カロリーが非常に高い。それでもこれだけのクオリティで制作し続けられたのは、中重監督のバランス感覚によるところが大きいと思います。アクセルを踏み込む判断を的確にされたことで制作現場が走り続けられたのかなと。もちろん、A-1 Picturesの制作チーム全スタッフの力と熱量が絶対に欠かせないものでした。素晴らしいチームワークだったと思います。

『俺だけレベルアップな件』水篠 旬アニメ

『俺だけレベルアップな件』アニメ

世界中で注目を集める『俺レベ』のクリエイターたち

――『俺レベ』は、放送を重ねるごとに注目度が増しているということでしたが、Season 1で高まった期待を、どのようにしてSeason 2につなげたのでしょうか。

髙橋:毎年、春から夏にかけて世界中でアニメ関連のコンベンションが多く開催されます。Season 1の放送が終了したのが2024年の3月だったので、7月に開催された北米最大のアニメコンベンション『Anime Expo』で、日本語版主役声優の坂泰斗さんと、英語吹替版の主役声優のAleks Leさんが同時に登壇する日米声優によるトークセッションを実施しました。

『Anime Expo』の様子

『Anime Expo』

日本語版主役声優の坂泰斗と英語吹き替え版主役声優のAleks Le、ANX古橋の集合写真

『Anime Expo』

また、フランスの『第24回 Japan Expo』、ドイツの『AnimagiC 2024』でも『俺レベ』のステージを開催して。『Japan Expo』ではアクションディレクターの菅野さんとA-1 Picturesの金子(敦史)プロデューサーに登壇していただき、『AnimagiC』では中重監督と古橋さんに登壇してもらいました。

『第24回 Japan Expo』(フランス)ステージでポーズをとる菅野芳弘とA-1 Picturesの金子敦史

『第24回 Japan Expo』(フランス)

ほかにも、南米最大級のコンテンツコンベンション『CCXP24 Brazil』やメキシコの『La Mole 2024』などでもステージを開催することで、世界各国、各地域のファンの熱量を高めつつ、併せて広告やSNSを活用したプロモーションを継続することでSeason 2への橋渡しを行ないました。

――日本のアニメイベントでは出演キャストが登壇するステージイベントが多い印象がありますが、海外のアニメイベントではクリエイターの方が登壇することも多いですよね。

髙橋:そうですね。特に海外では自分が好きな作品を作ったクリエイターに会いたいという声が多くて。制作の裏話的なものが聞けることもあるので、ファンの方々が多く来場されます。

古橋:私がイベントに参加したのは日本、アメリカ、ブラジル、ドイツ、フランスです。“海外”とひと言で括ってしまいがちですが、やはりそれぞれの地域でファンの皆さんの特性や求めていることが違うんだなというのがよくわかりました。

アメリカではひと言話すたびに歓声があがって会場が盛り上がり、ドイツとフランスではひと言も逃すまいとじっくりと話に聞き入るという雰囲気でした。ただ、どこであっても共通するのは、クリエイターに対するリスペクトがすごく感じられたということですね。

髙橋:アクションディレクターの菅野さんの登壇については、フランス側からリクエストされたものでしたよね。

古橋:そうなんです。アニメファンの間では、クリエイターの方々にも注目が集まるのは事実なのですが、アクションディレクターの方が指名されるというのは珍しくて驚きました。

ただ、言われてみると確かに『俺レベ』のアクションがどうやって作られているのか、ファンであればすごく気になるだろうなと思いました。実際、現地では菅野さんが発言するたびに客席の皆さんが深くうなずいて、話に聞き入っていましたね。

髙橋:あとはCrunchyroll のフランスチームは、『俺レベ』への熱量がすごく高くて、彼らの主導で『俺レベ』の制作ドキュメンタリーが作られたんです。原作が生まれた韓国にも行って、D&CメディアやREDICE STUDIOも取材しつつ、ANXやA-1 Picturesにもカメラを持ち込んで制作風景を撮影しました。

The Leveling of Solo Leveling | OFFICIAL TRAILER

――古橋さんが、プロモーションで世界を回って印象深かった場所はどこですか?

古橋:初めて行ったブラジルですね。現地でも日本のアニメの人気が高いというのは聞いていたのですが、実際はどんな感じなのかわかっていなかったので生で体験できて良かったです。

また、ANXとしてもブラジルのコンベンションに出展するのは初めてだったので、いい勉強になりました。ブラジルのファンの方々もとても熱量があって、会場を盛り上げながら、登壇者が話をするときは真剣に耳を傾けてくださるという姿勢でしたね。

『CCXP24 Brazil』の写真

『CCXP24 Brazil』

髙橋:これまではアニメのコンベンションと言えば北米のイメージが強かったと思いますが、最近は中南米でのアニメ人気もすごく高まってきているので、『CCXP』のようなイベントはファンの皆さんとのコミュニケーションの場としても、プロモーションの場としても、これから重要度が増してくると思います。

澤野弘之による劇伴も含め、音楽でも注目を集める『俺レベ』

――スタッフィングということでは、作品の音楽面も注目を集めています。特に、劇伴も担当されている澤野弘之さんの存在は大きいのではないでしょうか。

髙橋:その通りですね。澤野さんも国内だけでなく、海外でもとても人気のあるアーティストです。先ほどお話しした、『Anime Expo』での情報解禁の際も、澤野さんのお名前が出たときにものすごく盛り上がりました。そのあと、Xの世界トレンドにも「Solo Leveling」と並んで「Hiroyuki Sawano」が入っていて。その人気の高さを改めて感じましたね。

――Season 1のオープニングテーマは澤野弘之さんがK-POPボーイズグループTOMORROW X TOGETHERとともに手がけた「LEveL」(SawanoHiroyuki[nZk]:TOMORROW X TOGETHER)。このコラボレーションも注目を集めましたね。

古橋:オープニングテーマでも海外展開を意識しました。『俺レベ』は韓国発の作品ですし、K-POPはワールドワイドで愛されているので、K-POPアーティストに澤野さんが楽曲提供するというかたちが取れれば面白いだろうなと思い、ソニー・ミュージックエンタテインメントと相談していました。

SawanoHiroyuki[nZk]:TOMORROW X TOGETHER 『LEveL』 Music Video

――そしてSeason 2のオープニングテーマでは、LiSAさんとStray KidsのFelixさんによる楽曲「ReawakeR (feat. Felix of Stray Kids)」が提供されました。こちらもインパクトのあるコラボレーションになっています。

古橋:LiSAさんのお名前がまず最初に出てきて、LiSAさんサイドにオファーしたところ、“澤野さんに作曲をお願いしたい”というリクエストがありました。

それと同時に、K-POPアーティストとのコラボレーションというアイデアも進行していて、どなたにお願いするかとなったときに、既にコラボレーションの実績があるStray Kidsのメンバー、Felixさんのお名前が挙がりました。3者の素晴らしいコラボレーションになったかと思っています。

LiSA『ReawakeR (feat. Felix of Stray Kids)』MUSiC CLiP

『俺レベ』に関わる者の思い

――Season 2も好評のままクライマックスを迎えますが、『俺レベ』という注目度の高い作品に携わっている感想を教えてください。

古橋:『俺レベ』は、原作が最初から注目を集めていて、海外でも支持されていたので、やはりファンの皆さんの期待を裏切ってはいけないというプレッシャーがあり、それは今でも感じています。

ただ、プレッシャーにとらわれて萎縮してしまっては本末転倒なので、今では単純に“いい作品にするためにはどうすればいいか”“ファンの方々に喜んでもらうためにはどうやって届けるのがいいのか”にフォーカスするようにしています。

身振り手振りで話すANX古橋宗太

髙橋:私も最初はプレッシャーを感じていたのですが、Season 1から好スタートを切ることができたので、そのことからは解放されて、今はひとりでも多くの人にこの作品の魅力をお伝えしたいと考えています。

私もオフィスが東京なので、海外の反応を直に感じる機会は少ないのですが、SNSなどでの反響を見るたびに、ものすごい作品に携わらせてもらっているんだなと身が引き締まる思いを味わっています。

――おふたりは今後の『俺レベ』を、どのように楽しんでほしいと思っていますか?

古橋:『俺レベ』はストーリーがシンプルな分、映像に集中できる作品ですし、だからこそ映像的な見栄えが非常に重要な作品だと思っています。Season 2がクライマックスを迎えましたが、最後までクオリティを追求してくれる制作チームに映像化を託すことができて本当に良かったと思います。何度も繰り返し見ることで新しい発見のある映像になっていますので、ぜひ今後も楽しんでいただけるとうれしいです。

髙橋:今、視聴者数を調査すると、まだまだSeason 1の伸びがあって、見始めたばかりの方もたくさんいらっしゃるんです。まだ、『俺レベ』をご覧になっていない方も、今からでも遅くないので、ぜひ見ていただきたいと思います。

また、これからも海外でのイベントなどをANXと一緒に企画していきたいと思っています。私もいちファン、いち視聴者として毎話の放送を楽しみにしている作品なので、そんな作品をCrunchyrollとして世界中にお届けできていることが担当者としてこのうえなくうれしいことです。今後もCrunchyrollはグローバルなプラットフォームとして、この『俺レベ』を全力で応援していきたいと思っています。

ANX古橋宗太、Crunchyroll髙橋佳那子集合写真

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文・取材:志田英邦
撮影:冨田 望

©Solo Leveling Animation Partners

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