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担当者が語る! 洋楽レジェンドのココだけの話

ジョン&ヨーコについて知っておきたい15の事柄【上級編】

2020.10.07

世界中で聴かれている音楽に多くの影響を与えてきたソニーミュージック所属の洋楽レジェンドアーティストたち。彼らと間近で向き合ってきた担当者の証言から、その実像に迫る。

今回は、10月9日から東京の「ソニーミュージック六本木ミュージアム」でスタートする展覧会、『DOUBLE FANTASY – John & Yoko』の開催を記念して、世紀のアーティストカップル、ジョン・レノンとヨーコ・オノにスポットを当てる。彼らの存在や活動を語る上で知っておきたい“キーワード”を、ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル(以下、SMJI)の白木哲也が解説する。

上級編では、マニアの領域に一歩踏み込んだキーワードをピックアップ。ジョンとヨーコの実像がくっきりと浮かび上がるはずだ。

  • ジョン・レノン(写真左)
    1940年10月9日生まれ、1980年12月8日没。イギリス・マージ―サイド州リバプール出身。1962年、ザ・ビートルズのボーカル&ギターとしてデビュー。1968年からは平行してソロ活動を開始。私生活では、1962年に最初の結婚をし、息子ジュリアンが誕生。1969年にヨーコ・オノと結婚。1975年にショーンが生まれている。

    ヨーコ・オノ(写真右)
    1933年2月18日生まれ。東京都出身。銀行員だった父親の転勤に伴い、アメリカに移り住んで音楽と詩を学ぶ。その後、前衛芸術家として活動するなかでジョン・レノンと出会う。芸術活動、音楽活動だけではなく、ジョンの遺志を継いで、現在も世界中で平和運動を繰り広げている。

  • 白木哲也

    Shiroki Tetsuya

    ソニー・ミュージックレーベルズ
    ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
    マーケティング2部 ゼネラルマネージャー

    1993年から洋楽制作本部、2004年からソニー・ミュージックダイレクト、2007年からSMJIに所属。ヨーコ・オノ、ザ・クレイプール・レノン・デリリウムを担当。

初級編はこちら
中級編はこちら

10【インディカ・ギャラリー】頭のなかの5シリングと想像の釘

インディカ・ギャラリーの再現 Photo by Mark McNulty ©Yoko Ono

――ジョンとヨーコが出会ったインディカ・ギャラリーでのエピソードはいろいろあります。

そうですね。“釘を打つための絵”(真っ白なキャンバスと金槌が飾ってある)という作品があって、興味を惹かれたジョンは「やらせてほしい」とヨーコに頼むんです。でも、ジョンがギャラリーを訪れたのは展覧会のオープン前だったため、「展覧会は明日からだから」と、天下のビートルズのジョン・レノンがあっさり断られてしまう。あまりにも落胆するジョンを見て、「5シリング出すならならいいわよ」と言うヨーコ。それに対してジョンは、「じゃあ、頭のなかで5シリング払うよ。それで想像のなかで釘を打つね」と、まるで禅問答のようなやりとりがあるわけです。

ビートルズだからといってまったく怯むことのないヨーコに、皮肉屋だけどユーモアのあるジョンは、すごく想像力を掻き立てられたんでしょう。

――ヨーコのアートは、どういうものだったんでしょうか?

特徴的なのは鑑賞者参加型アートということでしょうね。参加者の想像力に問いかけて、一緒になってアートを作っていくという手法です。ジョンはそこに参加して、今までにないインスピレーションを感じてしまったんだと思います。

ジョンはちょうど、アイドルであることに嫌気がさして、次にシフトしていく時期に差し掛かっていた。そこで目にしたヨーコの何もかもが新鮮で、何かぴったりハマッたんじゃないでしょうか。もうこれは運命としか言いようがないですよね。

11【Grapefruit】名曲「イマジン」に繋がるヨーコの詩集

詩集『Grapefruit』©Yoko Ono

――ヨーコは、出会ってすぐのジョンに、自分の詩集『Grapefruit』を渡してるんですよね。

はい。1964年に出版され、当時は全然売れなかったとは思いますが、ジョンはその本を渡されて、大きな影響を受けることになります。ジョンは生前のインタビューで、「『イマジン」の作者はレノン/オノと表記されるべきだった。「イマジン」は彼女の本、『Grapefruit』から着想を得ていたことは間違いない。“Imagine this”、“Imagine that”、そういった言葉がたくさん出てくるんだ」と、明確に関連性を語っています。

そして、「イマジン」がリリースされてから46年後の2017年に、ジョンの希望通りにヨーコの名前が正式にクレジットされるわけです。「イマジン」という名曲は、運命的な出会いを果たしたふたりのアーティストの魂の結晶だったんですね。

ヨーコのアート、表現方法、魂は、その後のジョンの作風に本当に多大な影響を及ぼしていると思います。特に歌詞については、言葉を詰め込む感じではなくなったのは、『Grapefruit』やヨーコのさまざまなアートと出会ったからでしょうね。

12【バギズム】道化師になってでも訴えたかった平和

――結婚後すぐ“ベッド・イン”のイベントを行ないましたが、それ以降もふたりの平和運動はつづいていきます。

時代背景としては、べトナム戦争が泥沼化していたことがあります。ジョンとヨーコは、暴力や力づくでのやり方には一貫して反対し、自分たちの名声を使って人々に平和を考えさせるという活動をつづけました。

イギリスのコベントリー大聖堂の庭の東と西に、平和の祈りを込めてどんぐりを植えた“平和のどんぐり”キャンペーンもそのひとつ。その後ふたりは、どんぐりを入れた“愛と平和の小包”を各国首脳に送っています。

“平和のどんぐり”キャンペーンのパンフレットの表紙 Photo by Keith McMillan ©Yoko Ono

――それを送り返されたりもしたとか。

はい。「どんぐり植えてどうなるのよ?」という話でもありますからね(笑)。でも、ジョンとヨーコは、自分たちがある意味道化師のようになることも厭わなかった。とにかく、ひとりでも多くの人が平和について考えてくれればと、強く思いつづけていたんです。“バギズム”という平和運動もそうです。

――それはどういったプレゼンテーションなんですか?

ジョンとヨーコが、大きな白い袋にすっぽり入って記者会見をしていましたね。つまり、ジョンとヨーコはイギリス人と日本人ですけど、袋に入ってしまえばそんな違いもわからない。人種、国籍、性別、年齢などの固定観念を超えて、人間としてお互いを見ましょうというメッセージですよね。

現在の“ブラック・ライヴズ・マター”と同じようなメッセージを、60年代の終わりから既にふたりは発信していたわけです。ただ、70年代に入ると、もうちょっと先進的な政治活動になっていきます。

――どういった方向へ?

基本的にはさっきも言ったように、自分たちが注目されることによって、無関心な人たちにも何かを伝えることができるという姿勢なんですが、徐々に過激になっていきました。

1971年には、反体制活動家のジョン・シンクレアの名前をタイトルにした曲を作り、ジョン・シンクレア支援コンサートで歌ったりもしました。

その曲「ジョン・シンクレア」は、アルバム『サムタイム・イン・ニューヨーク・シティ』に収録されたんですが、ただリリースされたときにはもう誰もそのことを覚えていなかった……。

――ジョン&ヨーコと世のなかとの歯車が、少しずつズレていったような感じでしょうか?

最初のうちはすごく視野の大きな平和運動だったのが、ニューヨークに行ってより身近な問題に目が向くようになった。少しずつ政治的な視点に変わっていき、それでニクソン政権からも目をつけられたということもあったと思います。ジョンとヨーコの大きな影響力は、政権には脅威と映ったのかもしれません。その戦いの記録は、映像でもたくさん残っています。

――ふたりが愛と平和の使者のように言われるのは、そういった強大な対立軸があったからかもしれませんね。

“ラブ&ピース”のイメージで語られることが多いですが、やったことの全部が成功したかというと、そうでもない。どこかで挫折も味わってるはずです。だから、ジョンが崇め奉られている感じは、個人的に好きではないんです。あまりにも純粋に自分をさらけ出していたのはすごいと思いますが、きっと根本は単なるロックンローラーだったわけで。もちろん、平和運動には本気で取り組んでいて、その後もふたりの大きなテーマとなっていくんですが、だんだん、そのアプローチの仕方、方法論は変わっていくんですね。

――良い意味で天邪鬼なところはあった気がしますね。

ジョンは、元はリバプール生まれの不良ですからね。神様のように崇め奉られるのは、本人が一番嫌だったんじゃないかと思いますよ。

ヨーコ・オノ Photo by Matthew Placek

13 【マーク・チャップマン】心酔の果ての凶行

――銃撃の後、ジョンを撃った犯人の名前も知れ渡りました。

当時ハワイ在住だったマーク・チャップマンですね。彼がジョンに心酔してたのは間違いないんでしょうが、それが行き過ぎるところまで行ってしまったというか、自分自身がジョン・レノンだと思い込んでいたとも、当時言われてましたね。

その日の朝、彼はまず、ジョンがダコタ・ハウスを出るところで声をかけて、サインをもらっているんです。そしてそのまま、ジョンが帰ってくるのを待ち伏せした。帰ってきたジョンは、いつもだったら門のなかまで車で入るのに、なぜかその日は門の前で降りてしまった。そこを至近距離で撃たれてしまったという……。

――今、彼はどうしているんでしょうか?

20年から終身という無期刑で服役中です。20年服役した2000年から2年ごとに仮釈放申請をしていますが、毎回却下されていますね。8月に11回目の申請が却下されたという報道がありましたが、今後も申請を続けるでしょう。

ヨーコが今でもダコタ・ハウスを自らの居としているのは、そこでジョンが亡くなったことも含めて、すべて引き継いでいこうという強い意志を感じますね。

14【ミルク・アンド・ハニー】『ダブル・ファンタジー』の姉妹アルバム

――1984年に、ジョン・レノンの“新作”として発表されたのが、アルバム『ミルク・アンド・ハニー』です。

アルバム『ミルク・アンド・ハニー』

『ダブル・ファンタジー』の後、すぐに出すつもりでレコーディングされていたアルバムです。ジョンとヨーコの曲が交互に登場する作りや、タイトルにミルク=アングロサクソンとハニー=モンゴロイドを持ってきたところなどを含め、『ダブル・ファンタジー』と『ミルク・アンド・ハニー』は、コンセプト的に姉妹のような作品ですね。

ジャケット写真も、同じ篠山紀信さんが撮影したものですが、前者がモノクロで印刷されたのに対し、後者はそのアウトテイクをカラーで使用しています。リズム・マシンとキーボードだけで弾き語りしたデモをそのまま収録した「グロウ・オールド・ウィズ・ミー」は、ジョンがすぐそこで歌っているような臨場感があります。ふたりの関係の総括ともとれる歌詞にもグッときます。

15【イマジン・ピース・タワー】宇宙に向かって眩しい光が放たれる

――そんなふたりの愛を象徴するような光のタワーがあるんですよね。

2007年にアイスランドに建設された“イマジン・ピース・タワー”がそれです。「イマジン」と「ピース」は、ジョンとヨーコを表わす最も象徴的な言葉であり、ふたりがずっとやってきた平和運動のひとつですね。毎年、ジョンの誕生日の10月9日から、命日である12月8日までの間と、大晦日、そして春のイースター時期に、宇宙に向かって眩しい光が放たれるタワーが出現するんです。

――素敵ですね。

このタワーの台座のなかには、ヨーコが世界中で実施している参加型アート、“ウィッシュ・ツリー”の短冊に書かれた、それぞれの願いをつづった“言葉”が永久保存されています。みんなの願いが光となって天に届くという壮大なプロジェクト。今年ももうすぐ現われますね。

――上中後編と、ジョンとヨーコの歴史や功績をキーワードで辿ってきました。白木さんのお話にも登場した縁の品が、『DOUBLE FANTASY – John & Yoko』展では見られるということですね。

リバプールと東京で生まれ、ロンドンでの奇跡的な出会いから、NYでの悲しい別れまで、あたかも彼らの人生を一緒に歩んでいるかのような感覚になると思いますよ。アート作品だけでなく、これまでなかなか見ることができなかったふたりのパーソナルな品も展示されているので、より彼らの存在を身近に感じ、その魂に触れることができると思います。

 

文・取材:藤井美保

最新情報

『DOUBLE FANTASY ‐John & Yoko』
2020年10月9日~2021年1月11日(2020年12月31日、2021年1月1日を除く)
東京・ソニーミュージック六本木ミュージアムにて開催
 
リバプールで開催された大規模な展覧会を、ジョン・レノン生誕80年の今年、東京にて開催。ジョンとヨーコによる数々のアート作品や、貴重な私物などを展示する。
https://doublefantasy.co.jp/
 

アルバム『ジョン・レノン.ギミ・サム・トゥルース.』
10月9日リリース
 
ソロ作品のなかから選りすぐりの楽曲を、オリジナル・マルチ・トラックから新リミックス。ショーン・レノンがプロジェクト初参加。
https://www.universal-music.co.jp/john-lennon/
 

映画『IMAGINE<イマジン>』
10月9日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国順次公開
 
ジョン&ヨーコが出演、監督した、1972年制作の映画を日本初上映。
https://www.universal-music.co.jp/johnlennon-imaginefilm/

関連サイト

『DOUBLE FANTASY – John & Yoko』
https://doublefantasy.co.jp/
 
ヨーコ・オノ オフィシャルサイト
http://www.sonymusic.co.jp/artist/yokoono/
 
ザ・クレイプール・レノン・デリリウム オフィシャルサイト
https://www.sonymusic.co.jp/artist/theclaypoollennondelirium/

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