YO-KINGが語る『John & Yoko』【後編】
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ソニー・ミュージックエンタテインメント 他
2020.10.21
東京の「ソニーミュージック六本木ミュージアム」で開催中の『DOUBLE FANTASY - John & Yoko』。そこにやってきたのは、今からほぼ四半世紀前、楽曲「拝啓、ジョン・レノン」で物議を醸した、真心ブラザーズのYO-KING。ジョン・レノン、そしてヨーコ・オノの歴史を辿るこの展覧会で、ジョン・レノンに“かぶれていた”YO-KINGは何を想ったか。
前編では、ミュージアムを訪れたYO-KINGの言葉に耳を傾けながら、一緒に展示会を巡る。
目次
リバプール生まれのロックンローラーと東京出身の前衛芸術家の出会いから現在までの軌跡を辿る展覧会『DOUBLE FANTASY - John & Yoko』が開催されている六本木に、YO-KINGはひとりでふらりと、手ぶらで現われた。
ジャケットのポケットには、スマホとサイフ、ワイヤレスイヤホンしか入ってないラフな出で立ちではあるが、この日は自宅でビートルズの『レット・イット・ビー』とジョン・レノン&ヨーコ・オノの『ダブル・ファンタジー』のアナログレコードを聴き、ふたりに思いを巡らせてきたという。
「今日、気付いたんだよね。この展覧会の初日が40歳で亡くなったジョン・レノンの生誕80年の記念日だから、生きた分だけ、亡くなったあとの時間が過ぎちゃったんだって。そう思うと、時間って早いよね」
2020年から1966年へ。時系列に展示された展覧会では、まず、ふたりが出会うまでの幼少期の写真(※1)が展示されている。YO-KINGはジョンのソロ作『心の壁、愛の橋』のジャケットに使用された少年時代の水彩画や、ヨーコが1967年にジョンにプレゼントしたアートブック『グレープフルーツ』(※2)を目にし、「へー、すごっ……」と感嘆の声をこぼした。
ふたりが初めて出会った1966年11月のインディカ・ギャラリーの再現コーナー(※3)では、天井を見つめ、「“YES”ですね」と呟いた後、こう語った。
「最初の“YES”はやっぱりすごいよね。僕もね、なるべく“YES”って言うようにして、流れに身を任せた、適当な人生を歩んできてて。“YES”って相手に全部お任せしちゃってるわけだから身を委ねてるように見えるけど、本当は“YES”のほうが断然パンクだし、反抗してるんだと思うんだよね」
さらに歩みを進め、1969年の結婚式衣装の展示(※4)では「ピエール・カルダンなんだね」とブランドを確認し、同年にアムステルダムとモントリオールで行なわれた世界平和のためのパフォーマンス「ベッド・イン」のコーナーへ。ふたりのイラストが描かれたギター(※5)を見付けると、「これ、すごいな。本物か」とつぶやきながら、ギターの後ろ側に回り、何かを確認するかのように裏面を凝視した。
「ギターはね、ライブで使うとベルトのバックルがあたって、後ろに傷が付くんだよね。傷があるかな? と思って見てみたけど、あのギターではライブはやってないからね。後ろはキレイなままだった」
ここから時代はベトナム戦争下の1970年へと入っていく。“NEW YORK CITY”Tシャツの実物(※6)を前に「おぉ! 露天で買ったやつか。思ったより細身だな。でも、なんで袖を切っちゃったんだろな?」と笑うYO-KINGは、「イマジン」の手書きの歌詞(※7)の前で足を止めた。
「やっぱり何度も雑誌や映像で見てきたものが見れると感動するね。現物を見ちゃうと説得力が違う」
1973年から74年の「失われた週末」と呼ばれる別居時代を経て、1976年にジョンが取得したグリーンカード(※8)の前でも再び足を止めた。「かなり苦労して取得したやつでしょ。これも見たかったんだよね」と語り、抱っこひも(※9)や家族写真(※10)、日本語練習スケッチブックの原画(※11)が飾られた1980年で、ジョンの展示は唐突に幕を閉じる。
展覧会の最後は、ニューヨークのセントラル・パーク内にある「IMAGINE」の円形モザイクの再現(※12)。ジョンが凶弾に倒れてから5年後の1985年10月にヨーコが作った「IMAGINE」を、YO-KINGは実際に訪れ、そこに立ったと言う。
「3、4年前かな。それまでニューヨークに行ったことがなかったから、思い立って遊びに行ったんだよね。セントラル・パークのストロベリー・フィールズに行って、ダコタ・ハウスを見て。おお、ここか、って。何かね、うまく言葉にはできないけど、どーんとしてたわ」
オフィシャルグッズが置かれたミュージアムショップでYO-KINGが最も目を奪われたのは、ふたりへのインタビュー音源が録音された東京会場限定のクリアレコード(※13)。
「レコードが大好きだから、インタビューの10インチのレコードはモノとして持っていたいですね。しかも、ヨーコさんは日本語で、ジョンに同時通訳もしてるんでしょ。何を話しているのかがその場で音でわかるんだから、日本人もうれしいよね。きっと世界中の人が欲しがると思うけど、これは俺も絶対に欲しいです」
ミュージアムショップを出ると、ジョンとヨーコの”愛と平和”の願いを今に継承するメッセージ”イマジン・ピース”の展示(※14)があり、壁にはジョン・レノンの大きなポートレートが飾られていた。YO-KINGは足を止めて写真のなかのジョンとしばらく向かい合ったが、やがて静かに、そこから歩き出した。
YO-KING
1989年に桜井秀俊と真心ブラザーズを結成。「どか~ん」(1990年)「サマーヌード」(1995年)「拝啓、ジョン・レノン」(1996年)などのヒット曲がある。17thアルバム『Cheer』発売中。奥田民生らと結成したバンド、カーリングシトーンズにも参加している。
文・取材:永堀アツオ
展示物撮影:山中慎太郎(Qsyum!)
■ジョン&ヨーコについて知っておきたい15の事柄【初級編/中級編/上級編】
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2021年1月11日(2020年12月31日、2021年1月1日を除く)まで、ソニーミュージック六本木ミュージアムにて開催。当日券会場にて発売中。
リバプールで開催された大規模な展覧会を、ジョン・レノン生誕80年の今年、東京にて開催。ジョンとヨーコによる数々のアート作品や、貴重な私物などを展示する。
https://doublefantasy.co.jp/
(通常盤)
通算17枚目となるオリジナルアルバム。茂木欣一、川上つよし、沖祐市(東京スカパラダイスオーケストラ)、サンコンJr.(ウルフルズ)ら豪華ミュージシャン参加による、ポップでカラフルな楽曲が詰まった快作。
https://magokorobros.com/cheer/
真心ブラザーズ オフィシャルサイト
https://magokorobros.com/
真心ブラザーズ オフィシャルTwitter
https://twitter.com/magokoro_bros
YO-KING Instagram
https://www.instagram.com/yokinghonnin/
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