“なぜ人は終末に惹かれるのか?”――『1999展』が提示する“終わり”の先に見えてくる“始まり”
2025.08.15


2025.02.14
三代目 J SOUL BROTHERS、初のエキシビション『JSB3 CLASS』。本展の監修を担った株式会社LDH JAPAN(以下、LDH)の成田和正氏と、本展を主催するソニー・ミュージックソリューションズ(以下、SMS)で制作、運営を担当した井上愛が、『JSB3 CLASS』に込められたメンバーの思いやこだわりを語った。
後編では、メンバーがそれぞれの思いを表現したソロブースの見どころを解説してもらった。
目次

成田和正氏
Narita Kazumasa
株式会社LDH JAPAN

井上 愛
Inoue Mana
ソニー・ミュージックソリューションズ
記事の前編はこちら:三代目 J SOUL BROTHERSがこだわり抜いた展覧会『JSB3 CLASS』――すべては“MATEに喜んでもらうため”①
──『JSB3 CLASS』の特徴のひとつに、鑑賞者と展示物の距離の近さがあると感じました。特にソロブースはメンバーの私物も多く展示されているだけにセキュリティ面も気になるところですが、この展示はどのように実現したのでしょうか?
井上:お伝えした通り、『JSB3 CLASS』は“メンバーがそこにいるような温度感、ぬくもりを感じられる空間づくり”というのが重要なテーマでした。それはメンバーの皆さんもこだわっていたところで、特にソロブースは、なるべく近くで観てもらいたいと言っていました。
成田:今市(隆二)のブースには彼の私物のピアノが置かれているんですが、本人が「触れるようにしたら? 弾いてもらってもいいし」と言っていたんですよね。
井上:そうなんです。本当に今市さんが普段から使っているピアノということで……万が一のことがあってはいけないですし、私たちも責任の取りようがないので「それはやめましょう」とご提案したんです。それでもオープンのギリギリまで「いや、絶対大丈夫だって。MATEに壊したりするようなことをする人はいないから」とおっしゃっていて。説得するのが大変でした……。
成田:(笑)最終的に、触ることはできないものの、触れるぐらいの距離感での展示になりましたね。
──ファンの皆さんのことを本当に信頼されているんですね。
井上:そうなんです。「何が問題なの? 大丈夫だよ」とおっしゃっていて。何かカッコつけて言ってるとかそんなんじゃなく、本当に私たちの言っている意味がわからないという感じでした。ファンの皆さんを、心の底から信頼していて、喜んでもらえるなら何でもしたいという思いが伝わってきましたね。
あと、今市さんのブースにマイクが展示されているのですが、あれはATSUSHI(EXILE)さんが今市さんにプレゼントされたマイクなんですね。まだ、オーディションのとき、三代目 J SOUL BROTHERSとしてデビューする前に。
そんな貴重で大事にされているものをカバーなしでポンと置くなんて、普通は考えられないじゃないですか。でも、「近くで観れたほうが喜んでもらえるでしょ」と言って、あのかたちで展示することになったんです。
今回、成田さん、メンバーの皆さんを含め、LDHの方々と密なやり取りをしながら、制作を進めてきましたが、本当に皆さんのファンファーストな姿勢には驚かされました。潜在的に“何をすればファンが喜ぶか”ということをわかっていらっしゃるので、私たちはそれに引っ張っていただいて『JSB3 CLASS』をかたちにすることができました。
成田:確かに言語化するのは難しいですけど、さまざまなアイデアの根底がそこに通じているような気はします。誰かが「これをやりたい」と言っても、ファンの目線で見たときに、「これはどうだろう?」という意見が出ると必ず耳を傾けますし、「じゃあ、どうすれば実現できるか?」という議論になります。
井上:今回、まさにその議論を私たちは間近で体験させていただきました。ちなみに、そうした背景から来場者の方々のモラルに頼りっぱなしの展示内容になりましたが、これまでのところトラブルは一切起きていません。
撮影禁止のブースもスタッフは常駐していないのですが、写真を撮る方は誰もいないですし、本当に皆さんルールを守ってくださっていて……。いっぽうで、撮影可能なソロブースでは、“気づいたら数百枚撮ってた”というSNSでの投稿をみかけます(笑)。
井上:NAOTOさんのブースではNAOTOさんのダンスパフォーマンスを、VR技術を使って間近で見ることができます。VRというアイデアはNAOTOさんから出たもので、普段のライブでは見られない距離感でパフォーマンスを体感してもらいたいという思いを再現しました。
成田:デビュー前、デパートのガラス張りの前でひたすら練習していたのが、ダンス人生の原点のひとつだったということで、自分のヒストリーをソロツアーのダンスパフォーマンスでも表現していました。そして、そんなダンスを間近に感じてほしいという意図が、あのVR映像には込められているのだと思います。
井上:ダンスの楽曲は3つの会期ですべて入れ替わり、3期では、デビュー曲「Best Friend's Girl」に乗せたパフォーマンスとなります。NAOTOさんはもとより、三代目 J SOUL BROTHERSの原点を辿れるということで、ファンの皆さんもきっと喜んでくれるんじゃないかと思います。
成田:小林(直己)は趣味が多彩なので、展示物の点数は彼が一番多いかもしれませんね。紅茶の香りや私物などで彼の世界観を体感していただきつつ、自身で撮影した写真や、音楽、映像を楽しむことができます。
井上:映像は直己さんが多摩川の土手で佇む様子とスタジオ、そしてライブのバックヤードの3種類を撮り下ろしました。それぞれが30分を超える映像で、直己さんのふとした表情に見入ってしまう方が多いですね。
成田:彼が撮った写真は過去に雑誌などでも発表してきましたが、これだけの点数を公開するのは初めてのこと。メンバー同士ならではの親密なショットも、ファンの皆さんに喜ばれています。
井上:ELLYさんのブースのテーマはゲームセンターです。もともとELLYさんは「ファンが楽しいと思える部屋にしたい」「モノとして思い出に残る仕かけを盛り込みたい」とおっしゃっていて、だったら何が表現できるだろうと考えた結果、“ゲームセンター”というコンセプトが生まれて、フォトプリントの設置といったアイデアが出てきました。
成田:ディスプレイの一角には私物も展示されていますが、自分の世界観を表現すると同時に、“皆さんを楽しませる”という発想のほうが先にあるんだろうと思います。
井上:ブースに設置されているフォトプリントは無料で、紙焼きとダウンロードの2パターンでお持ち帰りいただけます。『JSB3 CLASS』でも大好評コンテンツのひとつとなりました。
成田:“山下健二郎と言えば”がたくさん詰まっている空間だと思います。私物のバイクを展示していたり、そのほかにも釣り道具やビンテージのプラモデルなど、彼のライフスタイルが表現されています。展示物がかなり多いのですが、演出として置かれているものもありつつ、私物の物量もかなり多いブースですね。
井上:山下さんの世界観を表現するべく、『JSB3 CLASS』バージョンのオリジナルのピンボールも制作して展示しました。こちらは実際に遊んでいただけます。あと、実現するかどうかはまだわからないのですが、今回のためにDIYで作られた机を「展覧会が終わったら抽選でプレゼントしたい」ともおっしゃっていましたね。
井上:真っ白な空間に岩田さんの巨大な石膏像がドンと置かれたインパクト大なブースです。岩田さんは普段から絵を描かれているのですが、自分のアート作品が完成していく過程をファンの方に見ていただきたいという意向がありました。会期中に白い胸像にどんどん色が塗られていく途中経過も含めて、楽しまれているリピーターの方が多いですね。
成田:石膏像は3Dプリンターで出力したもので、SMSの施工チームの方からこうした技術を持っている会社さんを紹介していただきました。アート作品もいろいろなアイデアが出ましたが、ただ眺めるだけでなく、ファンの方たちと体験を共有できるものがいいということで、このような展示に決まったんですよね。
井上:よくテーマパークや商業施設にキャラクターの石像と一緒に写真を撮れるフォトスポットがありますよね。胸像と一緒に写真を撮れたら、展覧会の思い出を持ち帰ってもらえるのではないかという岩田さんのアイデアでした。
成田:活動の真ん中に音楽があることを感じるブースに仕上がっていると思います。実は彼のブースにはスピーカーが5台設置されていて、それぞれから違う楽曲が流れているんです。
各スピーカーの近くには、過去のライブやミュージックビデオで着用したアクセサリーなどが展示されていて、耳を寄せるとどの楽曲で使用されたものか答え合わせができる仕かけになっています。
井上:今市さんは、「あれも展示しよう、これも展示しよう」とどんどん貴重なものをご自宅から持ってきてくださるんです。先ほど言ったATSUSHIさんからプレゼントされたマイクもそうですけど、書きかけの楽譜や歌詞のメモなど、普通だったら制作途中のものってあまり人には見られたくないと思うんですが、何の躊躇もなくご提案してくださいました。今市さんの音楽にかける想いやこだわりを感じ取っていただける展示になっていると思います。
成田:ØMIがソロ活動のモチーフにしている“月”をシンボルに据えたブースです。部屋全体が暗いのは、月明かりでファンを照らすというメッセージが込められています。この月は15分くらいかけて満ち欠けするようになっていて、その様子をじっと眺めている方も多いですね。
井上:ØMIさんの体のどこにどんなタトゥーが入っているかを人型で図案化したアートも人気です。また一見何もないように見える壁には、ブラックライトを照らすと文字が浮かび上がるようになっています。ØMIさんがファンに向けて書いた楽曲『Love Letter』などの歌詞が直筆で描かれていて、このブースに入ると「ØMIさんに包まれているような気持ちになる」とおっしゃっていたファンの方もいましたね。
──3カ月にわたる『JSB3 CLASS』もラストの3期目に突入します。SNS上でも大好評の声が多くあがっていますが、本展覧会の成功の理由はどこにあったと思いますか?
井上:やはりメンバーの皆さんが、ソロブースのクリエイティブにこだわり抜いてくださったことが大きかったですね。また、それぞれ表現は異なれど、共通して“ファンが喜ぶこと”を一番に考えられていて。ファンとの向き合いという意味では、私たちがいくらイベント制作の実績を重ねても、皆さんには追いつかないところがあると感じましたし、本当にたくさんのことを勉強させていただきました。
成田:それも役割分担と言いますか、SMSの皆さんが“額縁”を固めてくれたからこそ、メンバーもソロブースを自由にクリエイティブできたところが大きかったと感じています。
それと何より熱意ですよね。意外とこういうイベントというのは企画のスタートからゴールまでの間に担当者が変わることも少なくないのですが、今回に関しては井上さんがたゆまず並走してくれました。チームとして同じ方向を向いて走ることができた、その陣頭指揮をしっかり取っていただいたことに感謝しています。
あとは、エンタテインメントとしてのソリューションを1社ですべて担っていただけるので、あっちに連絡して、こっちと相談してというのがなく本当に現場は楽でした。今回の取り組みをリファレンスにして、また別のプロジェクトでもぜひご一緒したいですね。
記事の前編はこちら:三代目 J SOUL BROTHERSがこだわり抜いた展覧会『JSB3 CLASS』――すべては“MATEに喜んでもらうため”①
文・取材:児玉澄子
撮影:干川 修

2026.07.11
2026.06.30
2026.07.04
2026.07.03

2026.07.02
2026.07.01
ソニーミュージック公式SNSをフォローして
Cocotameの最新情報をチェック!