経理・財務:エンタテインメントが生み出される現場を数字と専門的な知識で支える仕事
2024.12.06


音楽、アニメ、ゲーム、キャラクター、イベントなど、人に感動を提供するエンタテインメントにはさまざまなジャンルがあり、そのジャンルの数だけ多種多様な職種が存在する。
連載企画「エンタメ業界のお仕事紹介」では、ソニーミュージックグループで働くスタッフの生の声から、エンタメ業界に存在する職種と業務内容、そして、その仕事にどんな“やりがい”や“魅力”があるのかを紐解いていく。
第1回は、アーティストとともにヒットを生み出す音楽企画制作(A&R)のスタッフに話を聞いた。
目次

RYOSUKE
ソニー・ミュージックレーベルズ
音楽企画制作(A&R)
キャリア:9年目
経理・財務/アニメ・ゲーム宣伝/音楽営業(マーケティング)/マーチャンダイジング/音楽宣伝/グローバルマーケティング(音楽)/アニメ企画制作/人事/プログラマー/著作権・契約・法務/ゲーム企画制作/キャラクタービジネス/マネージャー/パッケージ制作進行/ファンクラブ運営/デジタルコーディネーター/クリエイティブ(クリエイティブ/アートディレクション・制作プロデュース)/グローバルマーケティング(アニメ・ゲーム)/エンタプライズITシステム/音楽営業(セールス・マーケティング)/イベント・展示会運営/クリエイティブ(空間設計/企画)
 
音楽営業(セールス)/音楽営業(マーケティング)/音楽宣伝(デジタルプロモーション)/海外ライセンス(アニメ・ゲーム)/国内ライセンス(アニメ)/スタジオエンジニア
自分は、もともと音楽に関係する仕事がしたいと考えていました。そのうえで昔から久保田利伸さんの音楽やスタイルが大好きで、ずっと憧れていたことや、そのほかにも好きだったアーティストが多く所属していたデフスターレコーズというレーベルが、ソニーミュージックだと知って入りたい気持ちが強くなったことを覚えています。
それで新卒採用にもエントリーしたのですが、残念ながらそのときは落ちてしまって。ただ、この会社に入ることを諦めるつもりはまったくなく、当時のソニー・ミュージックコミュニケーションズ(現、ソニー・ミュージックソリューションズ、以下、SMS)にアルバイトで入社しました。その後、契約社員に推薦され採用試験にも合格し、しばらくしてから正社員登用試験にも合格して、現在に至ります。
前職となるSMSでは、音楽ライブ、ファッションやゲーム関連のイベント制作を10年ほど経験しました。自分で開拓したクライアントもいくつかあって、その企業の方々に“SMSに任せておけば大丈夫だ”と信頼していただけるよう、めちゃくちゃ仕事に専念しましたね。と同時に、音楽制作の仕事がしたいという想いもずっとあって、それは定期的に行なわれる人事アンケートなどにも率直にぶつけていました。
それが実って、2021年にソニー・ミュージックレーベルズ(以下、SML)に異動となりA&Rの職に就くことができました。
A&Rは、レーベルや個々のスタイルによって裁量の範囲や仕事の内容も変わってくるので一概には言えないのですが、基本的にはアーティストをサポートしながらヒットを生み出すために、さまざまな施策を考える仕事です。アーティストの発掘、育成をはじめ、楽曲制作にも携わりますし、プロモーションやマーケティング戦略についても考えます。
アーティストと同じ熱量で夢を追いかけつつ、その夢を掴むため、ときには第三者の視点で意見やアドバイスをするのが、A&Rの仕事だと自分は考えています。
自分はMASTERSIX FOUNDATIONというレーベルで、これまで複数のアーティストのA&Rを経験してきましたが、現在はチーフの立場で新人含め7組ほどのアーティストを担当しています。
我々のチームには20代の若手が多く集まっていて、みんな元気が良く、自分からどんどん動いていく積極的な人が多いのが特徴です。やりたいことが明確な人もいれば、まだ入社したばかりで手探りの人もいますが、みんながヒットを生み出したいという野望を持っているエネルギッシュな雰囲気のチームだと思います。
音楽アーティストの活動形態はさまざまですが、アーティストによって作られた楽曲も、作詞家、作曲家によって作られた楽曲も、どういうタイミングで世に出し、どのように売り出していくかは、基本的にA&Rにすべての判断がゆだねられます。その分、責任は大きいですし、プレッシャーもありますね。ただ、それでも音楽が生み出される現場に立ち会えるというのは、特別な体験だと感じていますし、A&Rという仕事の醍醐味だと思います。
また、生み出された音楽をビジネスとして展開するには、メディアの宣伝担当や店舗の営業担当、パッケージの制作チームなど、各部門から専門の担当者たちに集まってもらい、施策を組み立ていくんですね。その際、アーティストも含めてチームワークを築き、みんなでひとつの目標に向かうための舵を取るのもA&Rの役割で、これもこの仕事の楽しいところだと思います。
やりがいという点については、アーティストとともに曲を作り、その場にいる全員が“これは100点だよね”という楽曲ができたときに、ひとつのやりがいを感じています。ただ、我々が100%良いと思ったものが、世の中で同じように評価されるわけではありません。
それでも、その楽曲がファンの方に届いて、例えば、XやYouTubeなどで反響があれば、そこでもやりがいを感じますし、さらにはヒットチャートに入ったり、再生数など明確な数字でわかるヒットが生まれたりしたときにも、やりがいを感じます。
直近で言えば、今、担当している新人のアーティストがいるんですが、当時SNSのフォロワー数百人のころからスタートしていて、この1年半で総フォロワー数が25万人を超えました。A&Rだけでなく、マネジメントにも携わっているアーティストなので、ファンの方から応援コメントをいただく度にやりがいを感じています。もちろん、今後も全力を注いで、ヒット曲を生み出せるようにしていきたいです。
A&Rという職業は、物ごとを自分ごと化することができて、それを言葉で伝えるコミュニケーション能力がある人に向いている職業だと思います。仕事とは関係のないところでも、日々の生活のなかで気づいたことや、発見したことを自分ごととしてインプットし、それを必要なときにアウトプットすることが求められるので、コミュニケーション能力に自信のある人は、この仕事に向いていると思います。
それと、A&Rという職業に資格はありません。音楽制作に関する知識は現場に出てから学ぶことが多いので、この仕事を目指すのに必要なのは、コミュニケーション能力と音楽制作に携わる仕事がしたい、世の中を熱狂させるようなヒットを生み出したい、という熱量ではないかと自分は考えています。
ソニーミュージックグループ内での異動でしたし、A&Rがどういう仕事なのかも知っていたので、大きなギャップは感じなかったですね。前職のSMSで培ったキャリアや人脈も、今の仕事に大きく役立っています。
ギャップというのとは違いますが、A&Rの職に就いてからは言葉を尽くすことの重要性を改めて認識しました。我々が、日々向き合うアーティストは生身の人間です。考え方や意見が異なるのは当たり前ですし、ときにはお互いが感情的になってぶつかることもあります。
そういうときこそ、丁寧なコミュニケーションが求められるので、それこそメールやSNSで済ませるのではなく、必ず表情や声のトーンがわかる方法で自分の考えや想いをしっかり伝えるようにしています。人と人のコミュニケーションから音楽を生み出しているからこそ、おざなりしてはいけないことだと心に留めています。
A&Rという職業に求められるのは、“ゼロイチ”でヒットを生み出しつづけること。新人を発掘してヒットさせるのも“ゼロイチ”ですし、育成でアーティストの魅力を開花させていくのも“ゼロイチ”。どんなかたちであれ、何かしらの“ゼロイチ”を生み出すことがA&Rの一番のミッションです。なので、個人的な目標としては、“ゼロイチ”をたくさん生み出し、自分で音楽レーベルを立ち上げられるようになりたいです。
最高のアーティストたちと、最高の音楽を作り、ひとつでも多くのヒットを生み出していきたいですね。
文・取材:永堀アツオ
撮影:干川 修
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