スタジオエンジニア:アーティストが求める音を、技術とセンスで具現化する仕事
2025.12.14


音楽、アニメ、ゲーム、キャラクター、イベントなど、人に感動を提供するエンタテインメントにはさまざまなジャンルがあり、そのジャンルの数だけ多種多様な職種が存在する。
連載企画「エンタメ業界のお仕事紹介」では、ソニーミュージックグループで働くスタッフの生の声から、エンタメ業界に存在する職種と業務内容、そして、その仕事にどんな“やりがい”や“魅力”があるのかを紐解いていく。
今回は、アニメ作品の版権を管理し、ライセンスビジネスを通してグッズやイベントの企画制作などに携わる、アニプレックス(以下、ANX)の国内ライセンス担当に話を聞いた。
目次

TAISHU
国内ライセンス(アニメ)
キャリア:5年目
音楽企画制作/経理・財務/アニメ・ゲーム宣伝/音楽営業(マーケティング)/マーチャンダイジング/音楽宣伝/グローバルマーケティング(音楽)/アニメ企画制作/人事/プログラマー/著作権・契約・法務/ゲーム企画制作/キャラクタービジネス/マネージャー/パッケージ制作進行/ファンクラブ運営/デジタルコーディネーター/クリエイティブ(クリエイティブ/アートディレクション・制作プロデュース)/グローバルマーケティング(アニメ・ゲーム)/エンタプライズITシステム/音楽営業(セールス・マーケティング)/イベント・展示会運営/クリエイティブ(空間設計/企画)
 
音楽営業(セールス)/音楽営業(マーケティング)/音楽宣伝(デジタルプロモーション)/海外ライセンス(アニメ・ゲーム)/スタジオエンジニア
今、振り返ると、僕の人生の分岐点にはいつもアニメがありました。中学のときにバスケ部に入ったのも、高校でバンドを始めたのもアニメの影響。アニメを見て新しいことを始めたり、前向きな気持ちになったり、転機のきっかけをたくさんもらってきたように思います。だからこそ、自分もアニメを見る人に楽しさや喜びを届ける側になりたい。そんな思いが、学生時代からずっとありました。
実は新卒採用のときにも、ANXを志望してソニーミュージックグループの入社試験にエントリーしていたんです。でも、そのときは残念ながら落ちてしまって。その後、別のアニメ関連会社に就職し、3年間ほどアニメのイベント事業に携わっていました。
ただ、コロナ禍でイベントが一気に減ってしまい、時間ができたので自分のキャリアを見つめ直したんですね。そのときに“今も楽しいし充実しているけど、やっぱりANXで働いてみたい”と強く思うようになりました。ちょうどそのタイミングでANXから中途採用の募集が出ていたので、再チャレンジしたところ、採用となり入社することができました。
ライセンスビジネスは、“このアニメのグッズを作りたい”“このキャラクターを使ってキャンペーンを行ないたい”といったオファーや、逆にこちらから“このキャラクターでこんな施策を行ないませんか”といったご提案を行ないながら、自社が持つアニメやゲーム作品の版権を他社の皆様に活用していただくビジネスです。
ライセンスアウト(使用許諾)を行なうジャンルは、グッズやイベント、アプリゲームから、パチンコ、パチスロといった遊技機まで多岐にわたり、それぞれのビジネスを手がける企業の皆様と個別に契約を行ないます。
自分は、そのライセンスビジネスで国内向けの窓口を担当。企業の皆様と契約を交わし、使用許諾の手続きや監修といった業務を行なっています。
具体的には、“このアニメを商品キャンペーンに使用したい”というお話をいただいた場合、まずは先方が考えている企画内容を詳しくヒアリング。どれくらいの期間、どのような規模で行なうのか、描き下ろしイラストは必要かなど、細かく確認し、契約内容を詰めていきます。
すべての条件がまとまると、ANXもしくは作品の製作委員会に許諾を取り、そこからは契約手続き、描き下ろしイラストが必要であればその発注、グッズ、デザインの監修など、複数の業務を同時並行で進めていきます。
ひとつのIPのライセンスビジネスを行なう際に“アパレル担当はこの人”“イベント担当はこの人”と細かく分業している会社もありますが、ANXの場合、基本的にはひとりが一気通貫してすべてのカテゴリを担当します。担当者が作品のライセンス事業全体をコーディネートするようなイメージですね。
ライセンスビジネスは、アニメの企画制作チームが生み出した作品の価値を1から100へ、100から1,000へと広げていく役割を担っています。そして、映像以外のさまざまなかたちで、作品の魅力を多くの人に届けられるのが、この仕事の醍醐味だと感じています。
また、作品の魅力を広げる方法は、担当者の裁量に委ねられる部分もあります。例えば“この作品は本編で印象的な料理が登場するから、再現メニューをコンセプトにしたコラボカフェを展開しよう”“この商品とコラボするなら、こんな描き下ろしイラストをアニメスタジオに描いていただこう”と、作品の広げ方を自分なりに工夫できるのが、この仕事の面白さですね。
この仕事をしていると“このアニメでグッズを作りたい”“イベントを仕かけたい”と、たくさんのお声がけをいただきます。また、自分からメーカーや広告代理店の方にご提案して実施が決まる施策もあります。そうやって自分が携わった案件や、担当したイベントの初日に足を運び、お客さまが喜んでいる姿を見るのが一番のやりがいです。
どの案件も準備段階の調整が多くて大変ですが、会場でファンの皆さんの笑顔を見た瞬間、“頑張って良かったな”とすべてが報われます。これまで前向きに仕事を続けることができたのは、そういった喜びに触れることができたからでしょうね。お客さまが喜ぶ姿を直接目の前で見られるのは、この仕事に限らず、エンタメ業界で働く大きなやりがいだと思います。
僕の場合は“誠実さ”を大切にしています。ありがたいことに、普段から多くの企業の皆様とやり取りをさせていただいているのですが、その際に、パートナーとして誠実かつ丁寧に皆様と向き合うことを心がけています。
また、少し大げさかもしれませんが、“仕事において、どれだけ自分のファンを作れるか”ということも意識しています。窓口を担当していて一番うれしいのは、“あなたが担当する作品だったら一緒にやるよ”と言っていただけることだと思うんです。自分もそういった言葉をいただけるように、日々のやりとりにおいても誠実であることを何よりも大切にしています。
ほかの仕事にも通じることだと思いますが、好奇心旺盛な人、アクティブな人が向いていると思います。この仕事は、自分の意欲次第でいくらでもチャレンジができますし、前例のない分野とのコラボも、予算や売り上げの見通しが立てば実現することができます。
会社も若手の挑戦を積極的にサポートしてくれるので、自分が好きなこと、興味があるものを軸に新しいアイデアを考え、ライセンスビジネスに落とし込むことができます。だからこそ、日ごろからいろいろな場所に出かけて、新しいものを見たり、体験したりして、インプットのアンテナを立てておくことが大事です。
僕も、あるアニメ作品で本格的なサウナ施設とのコラボを実施したことがあります。作品としても初の試みで、ファンの皆さんの間でも話題になりました。もちろん一緒に取り組んだパートナー企業の皆さんのお陰ではあるのですが、これは日ごろからアンテナを張っていたからこそ生まれたアイデアによって実現できた企画だったと思います。
サウナ施設とのコラボ企画は、冗談のようなアイデアから始まったのですが、“これを本気でやりたい!”という熱量があれば、笑ってしまうような企画も大真面目に実現できます。僕たちは人を楽しませることを生業にしているエンタメ業界の人間。そのためならなんだってやる! という意気込みのある人と、ぜひ、一緒に働きたいですね。
現在の部署には、いろいろなバックボーンを持つスタッフがいます。この部署での経験をもとに、別の部署で活躍している人もいますね。
そのうえで今の自分の考えは、ライセンスビジネスという仕事で、新しいことにどんどんチャレンジしていきたいという気持ちが強いです。サウナコラボのように突拍子もない企画も、成功すれば作品の魅力を広げることにつながりますし、今まで接点のなかった層にアプローチできることもありますから。
ここ数年、アニメのライセンスビジネスは拡大を続けています。そのなかで、どうやって突出して、お客さまに価値ある企画や体験を提供できるか。そしてアニメの魅力をどうやって広げていけるか。そこにフォーカスして、積極的にチャレンジしていきたいと考えています。
文・取材:野本由起
撮影:干川 修
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