音楽営業(マーケティング):音楽をより多くの人々に届けるためのプランを企画、実施する仕事
2025.12.09


音楽、アニメ、ゲーム、キャラクター、イベントなど、人に感動を提供するエンタテインメントにはさまざまなジャンルがあり、そのジャンルの数だけ多種多様な職種が存在する。
連載企画「エンタメ業界のお仕事紹介」では、ソニーミュージックグループで働くスタッフの生の声から、エンタメ業界に存在する職種と業務内容、そして、その仕事にどんな“やりがい”や“魅力”があるのかを紐解いていく。
今回は、音楽CDをはじめとするパッケージ商品の音楽営業(セールス)担当者に話を聞いた。
目次

RIE
音楽営業(セールス)
キャリア:5年目
【マーケティング】
CDやDVD、Blu-rayなどの発売元であるレーベルと、セールスとの間に立ち、商品の販売方針についてプランニング、提案を行なう。ヒットを目指して、1枚でも多くの作品をファンの手に届けるために、レーベルと目標枚数や特典、イベントといった施策内容などを打ち合わせ、セールス担当と連携をとりながら調整、推進する。
【セールス】
CDやDVD、Blu-rayなどのパッケージ商品をショップに販売するセールス活動を行なう。店頭、オンラインで行なう施策や、リリースイベント、クライアントのSNSを使った施策などの提案、調整、実施に加え、商品の出荷指示も行なっている。
【Eコマース運営】
ソニーミュージック公式直販サイト「Sony Music Shop」や、特典つき商品の応募、購入専用サイト「forTUNE music」などEコマースサイトの運営、マーケティングを行なう。また、各種Eコマースサイトの制作、運営を行なうと同時に、自社物流を持つ強みをいかし、タイムリーなサービス提供を実現する。
音楽企画制作/経理・財務/アニメ・ゲーム宣伝/音楽営業(マーケティング)/マーチャンダイジング/音楽宣伝/グローバルマーケティング(音楽)/アニメ企画制作/人事/プログラマー/著作権・契約・法務/ゲーム企画制作/キャラクタービジネス/マネージャー/パッケージ制作進行/ファンクラブ運営/デジタルコーディネーター/クリエイティブ(クリエイティブ/アートディレクション・制作プロデュース)/グローバルマーケティング(アニメ・ゲーム)/エンタプライズITシステム/音楽営業(セールス・マーケティング)/イベント・展示会運営/クリエイティブ(空間設計/企画)
 
音楽営業(マーケティング)/音楽宣伝(デジタルプロモーション)/海外ライセンス(アニメ・ゲーム)/国内ライセンス(アニメ)/スタジオエンジニア
新卒では、非日常的な環境で働きたいと思い、沖縄のホテルに入社しました。2年間勤め、貴重な経験を重ねましたが、違う分野にも挑戦してみたいと思い、もともと住んでいた東京に戻って転職を考えることにしたんです。
その際、最初に浮かんだのが音楽に対する思いです。私は中高生のころからK-POPが大好きで、ライブにもよく足を運んでいました。自分自身も学生時代はダンス部に所属していて、ステージに立つ側でしたが、同時に支える側の仕事にも興味があったんです。
そこでライブ制作の仕事に携わりたいと思い、ソニーミュージックグループの採用試験を受けたところ、面接で“セールスの仕事に興味はありますか?”と聞かれて。正直なところ、具体的に仕事内容をイメージできたわけではありませんでしたが、“音楽に携われるなら、ぜひやってみたいです!”と答え、今の部署に配属となりました。
CDやDVDなどパッケージ商品の営業を行なっています。担当する営業先は、大手ECサイト。アーティストのCDのリリースが決まったら、販売推進部(商品の販売方針についてプランニング、提案を行なう部門)や先方の担当者の方と連携しながら、オリジナル特典の企画、進行、リリースイベントの企画、制作などに携わります。販売推進部が企画したマーケティングプランをかたちにする、いわば“実行部隊”ですね。
例えば、ECサイトの担当の方から“売上を伸ばすためにリリースイベントを開催したい”“こんな特典をつけたい”といった要望をヒアリングし、販売推進部に伝えるのも私たちの仕事です。大きな会場を借りて、チェキ会やイベントを開催することもあります。
もちろん、販売推進部やECサイトの担当の方に話を通し、自分発信で動くこともあります。例えばK-POPなら“ランダムな特典をつけたほうが注目されるだろう”、アニメ主題歌なら“作品の絵柄の特典をつけた反応がいいだろう”とアイデアを出し、販売推進部に提案します。
また、CDの出荷指示を出すのも大事な仕事で。倉庫の在庫管理システムに出荷数をインプットするなど、デスク業務まで一貫して担当しています。
幅広い音楽に携われるのが、この仕事ならではの面白さだと思います。私たちが扱うパッケージ商品は、ソニーミュージックグループのものだけではありません。受託案件として、他社レーベルに所属するアーティストのタイトルも担当します。
毎週多くのCDがリリースされるので、知らなかったジャンルやアーティストに出会う機会も多く、音楽の知識が自然と増えていきます。担当する作品がアニメやドラマの主題歌になることもあるので、世の中のトレンドにも敏感になりました。
また、パッケージ商品を販売するECサイトにも特徴があり、サイトによってお客様の層も異なります。アーティストとECサイトの特性、その両方を理解したうえで企画を立てるのは難しいですが、その分、施策がうまくいったときは大きなやりがいを感じます。
今はCDなどのパッケージ商品が売れない時代と言われますが、現場を任されている者の視点で言うと、まだまだ可能性があると思っています。リリースイベントを行なえば反響がありますし、ベストアルバムの需要も根強くて。私自身もそうですが、ファンには“現物を手にしたい”“飾りたい”“特典が欲しい”という気持ちがあるので、アイデア次第でもっと売り上げは伸ばせるのではないかと考えています。
また、営業というと“数字のノルマが厳しそう”というイメージを持たれがちですが、私たちの部署はそうではありません。もちろん数字がまったく問われないわけではないのですが、ECサイトの担当の方も含めて“どうしたらもっと売れるか”を一緒に考えるチームのような感覚です。熱意をもってECサイトに売り込んだ若手アーティストがヒットし、NHK紅白歌合戦に出演したときには本当にうれしかったですね。こうしてヒットに携われるのも、この仕事の醍醐味と言えます。
入社したばかりのころは、与えられた仕事をこなすだけで精一杯というのは当たり前だと思います。ですが3年目になったころ、新しく中途採用のスタッフが次々に入社してきたときに、ふと“3年目の自分と、今スタートラインに立ったみんなとの違いは何だろう”と考えて、そこまで大きな違いがないことに気づきました。
このまま仕事をこなしているだけではダメだ、もっと主体性を持って能動的に取り組まないと、自分はこの会社で成長できないと思い、一気に火がつきました。
そこからは、アーティストの作品を一つひとつしっかり聴き込んで内容を理解し、担当するECサイトの特徴を踏まえて“どう売るか”を自分なりに考えるようにしました。この意識の変化が、自分にとって大きな転機だったと思います。アーティスト、作品に対して深い愛を持ち、どこまでのめり込めるか。このスタンスを取り入れてからは、実際、売上を伸ばすこともできました。
自分が担当するECサイトで売上を伸ばしたいという気持ちが強いので、他店の動きや特典内容などのリサーチは欠かさず行なっています。
ECサイトの強みは、“欲しい”と思ったときにすぐ購入できること。そのため、在庫を切らさないように常にチェックすることも重要です。ただし、過剰な在庫を抱えるわけにはいきませんし、ECサイトの倉庫のスペースにも限りがあります。そのため、在庫を適正に保つのもセールスの腕の見せどころです。
また、メンタル面では、ネガティブな感情を引きずらないよう意識しています。パッケージ商品の出荷時には、1クリックで数千枚の商品が動くので、責任が重く、プレッシャーを感じます。さらにはリリースイベントを開催したときに、その内容についてSNS上でネガティブなコメントをいただくこともあります。
そんなときはただ落ち込むのではなく、指摘されたことを反省点や課題として次にいかせるよう、ポジティブに変換するようにしています。もともと性格は明るく、切り替えは早いほうなので、この仕事には向いていると自分では分析しています。
いろんなことに興味を持てる人、そして明るくて前向きな人ですね。
セールスの仕事は、ECサイトやCDショップの担当の方々と毎日のようにやり取りしますし、販売推進部とのコミュニケーションも欠かせません。日ごろから“私はこのアーティストが好き”“最近このジャンルにハマっています”と、自分の好きなものを発信しておくと、“このアーティストの案件、やってみる?”と声をかけてもらえることもあります。
また、自分から学ぶ姿勢はとても重要です。セールスの基本はもちろん先輩方が教えてくれますが、先ほども言った通り、与えられた仕事をこなしているだけでは、自分の成長にはつながらないですし、自分が取り組んでいるビジネスの拡大にもつながらない。だから、好奇心を持って積極的に学ぶという姿勢を持っているのは、重要な適性だと思います。
今の仕事は、営業スキルとともにパッケージ流通の基本も学べるので、さまざまな職種にこの経験をいかせると思います。ただ、私は置かれた場所で咲きたいタイプ(笑)。セールスの仕事は自分にぴったりだと思うので、今はこの部署で世の中に影響を与えるヒット作に携わりたいです。そのうえで将来的には、この経験をいかして、別のグループ会社や部署でも活躍できるようになっていきたいですね。
また、海外へのパッケージ販売にも興味があります。日本のCDは音質が良く、ブックレットなどのクオリティも高いですし、今、J-POPのファンは世界中に存在しています。今後、海外のファンに直接CDを届けられるようなECサイトや販売チャネルができれば、CDの売上ももっと伸ばせるはず。こうした販路の開拓にも携わりたいと考えています。
文・取材:野本由起
撮影:干川 修
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